雑記 思い出

【東映×ブースタープロジェクト】ホラーの核3要素【ホラー120分プロット】

投稿日:2021年10月1日

ホラー描くぜえええ!!!

イヤアッフウウウウ!!!

9月が終わった。

最終日の9月30日は僕が出そうと思っていたシナリオコンクールの締切が3つもあった。

 

東映×ブースタープロジェクトのプロット募集(120分のホラー想定)

 

恵那峡映画祭(テーマ:10分ラブストーリー)

 

新人シナリオコンクール(ノンジャンル120分もの)

 

である。

 

恵那峡はずっとアイデアのカケラっぽいものが頭の中にあって、それを描こうと思って一ヶ月以上頭の中を歩かせていた。

恵那峡応募の話は次の記事で書こう。

 

まずはホラー。ホラーですよ。

 

さてさて今回のホラープロット募集。

シナリオコンクール界隈では、ホラー作品はジャンル的にNGみたいな風潮がある。(少なくとも僕はそういう認識だ)

フツーに考えて難しいよなあと思う。

ドラマ要素がないと感情移入が薄れて没入感なくなるし、かといってドラマ要素を入れると途端ヒューマンドラマみたくなる。

ファンタジーみたいな心温まる話も今回の募集に限れば勿論NG。

世にも奇妙な物語の感動回みたいなものはそれにあたる気がする。

今までの受賞作だと、いつかのヤンシナの『人体パズル』がホラー受賞としては印象深い。

人体パズルは僕がヤンシナを目指そうとホームページを見た時に載っていた作品だったから、よく覚えている。

僕の知る限りでは、あれが最初で最後のホラー受賞だった。

5年近くホラー受賞作を読んでいない。それくらいホラーって難しい。

ホラー市場って規模的には結構大きいと思うのだけど、

コンクールでは『ドラマ』や『人』、『セリフ』を重視するから尺的にどうしてもホラーは不利になる。

何も難しい畑で戦う必要もない。

だからホラーは全く視野に入れてこなかった。

 

人にシナリオを描いていることを話したら、

 

『ホラー』か『ミステリー』を書いているの?

 

と言われるくらいにはそれらのジャンルが好きなのだけど、大体はヒューマンかラブストーリーばかりで応募をしている。

それで書かざるを得ないというか。

奇をてらいまくって『面白すぎるぜ……』と審査員を唸らせる自信を僕は持ち合わせていない。

 

でもね、今回は特別なんだよ。

なんたって

 

ホラー募集

 

なんだから。

これってすっごくレアな公募。

コンクールで迎合され辛いホラー作品を、主催者が進んで募集しているなんて奇跡よ奇跡。

 

やるっきゃねえよな!!

 

もしかしたらホラー募集は僕の代ではこれが最初で最後かもしれない。

次回の募集は5年後か。いや、5年後でもあればいい。

次はないかもしれない。

だからぜひ挑戦したい。

溜め込んできたホラー、ぶちかましてやんぜ!!

そう決めて挑んだ。


 

今日は今回のホラー映画プロット募集について考える。

 

ホラーとは何か

 

最近この手の枠組ある公募では、必ずテーマの概念を考えるようにしている。

辞書の更に奥にある意味を考える時間をしっかりと作っていきたい。

この時間がないと作品がブレてしまうから。

最近の通過率を鑑みるに、ここで一度立ち止まることは大事なのかなと思っている。

少ない枚数で何を描かなければならないのか。

2時間ものの『何』を抽出してA4一枚に持っていくか。

そこが肝。

 

で、僕はホラーに重要な要素を

 

畏怖、未知、好奇心

 

これらに三分割した。ホラーの核と言っていい。

これを満たしていないホラー作品はつまらない。

 

ちなみにこの根拠は既存作品を分析するのではなく、観客を分析して自分なりに考えた。

観客を分析して自分の感性と照らし合わせ、仮説を立てて既存作品と答え合わせ。

『面白い』は作品に付随していると思われがちだけれども、

『面白い』と実際に思うのは観客の方だから、僕はこの考え方で良いと思っている。

これを前者で考えている人は、観客を置いていく話になってしまっていそう。

今回の募集だと、ホラー映画をひたすら見て共通項を探している人、とか。

型にはまった類似作品が生まれやすいのも辛いやり方だ。

『どこが面白いか』を分析しながら映画を見るのも勿体ない。

脚本家も映画は楽しんで見た方が絶対に良い。

 

昔、シナリオ仲間の一人が、

『ホラー映画は遊園地のアトラクションと同じ』

と言っていたことが印象に残っている。

その時に僕は、『なるほどなー』と思った。

遊園地のアトラクション、これにホラーの全てが詰まっている。

ちなみに僕が一番好きなホラー映画は『チャイルド・プレイ』だ。全く怖くないが。

ホーム・アローン並にハートフルな映画なので、ぜひ見て欲しい。

チャッキーガンバレ!!

脱線した。ごめん。

 

『怖いのに乗りたくなるのはなぜ』

 

その要素がつまり、畏怖と未知と好奇心。

そう僕は思えた。

だからそこを軸に考える。

この3つで最重要なのは『好奇心』。

つまり、惹きつける何かだ。

遊具に乗せられないことには、クオリティの見せ場がない。

『自分だったらどうしよう』とか、

『身近過ぎて避けられない普遍性あるもの』とか。

この辺りの要素は入れたいなって思った。

好奇心は観客も関係しているからこそ膨れ上がる。

 

リングならビデオを見たらどうしよう。

着信アリなら着信あったらどうしよう。

 

DVD(ビデオ)もスマホ(携帯)も、日常生活とは切っても切れない関係にある。

だから怖い。避けようがない。

観客にも明日、厄災が降りかかるかもしれない。それって超怖い。

 

で、ここからどうするか。

やっぱりアイデアが大事だ。

 

リングも着信アリも、そのアイデアが最強過ぎる。

あらすじを聞いただけで見たくなる。

怖い思いをするのは分かっているのに好奇心に負けて、つい映画館に足が向いてしまう。

 

ここでアイデアに関して。

 

『アイデアのほとんどには類似作品がある』

 

そう言われていることについて言及したい。

全く新しいものは生み出せないから諦めろ的な風潮が界隈にはある。

だから一からアイデアを生み出すことを最初から放棄している人も多い。

でも、三分割した要素の一つに『未知』がある。

ホラー脚本家を目指すなら、そこで甘えてはいけない。

真剣に考える必要がある。

思いつかなくても諦めず捻り出した方が、絶対に魅力的な作品が生まれる。

 

……。

 

早速一つ思いついた。

自分が見たことないような運命。見せ方。超怖いもの。

これならいけそう。

瞬殺だった。

正直、これに関しては自分の才能が怖い。

自分はホラー畑の人間だったのかと疑う。

HAHAHAHAHA。

これで一次落ちした日には……いや、それも平常運転か。

次に行く。

 

骨格が出来て、ストーリーの大枠は出来た。

ここからホラー要素を足していく。

この辺りを考えている時に、普段お世話になっている勉強会メンバーのホラープロットが数本上がってきて、参考に読ませてもらった。

ここでホラー映画によくある表現の一つを紹介したい。

それは、

『理不尽性』

だ。

因果応報の「スカッと」ではなく、『え、何でコイツ死なないといけないの?』的な「モヤッと」はホラー作品によく出てくる。

善人も巻き込まれるから怖い。一般人が巻き込まれる恐怖は、誰もに響く。

前述した『好奇心』を高める表現だ。

ヒット作品の多くにも頻出して描かれているように思える。

勉強会のメンバーも、総じてそのポイントは抑えていた。

自分だけがそれに気づけていると調子に乗っているとこれである。

まあね、描ける精鋭たちだもの。

僕なんかより全然結果を出しているし、くそう。

読んだ感想は、どれも独創性に富んでいて面白かった。

でも残酷になりきれていない印象も受けた。

だから怖さはあまり……といった感じ。

提出した人の中にはホラーが苦手な人もいたし、描ける人でも精通していないジャンルなのだろうか。

(※映像化したら怖くなるのかな)

『コンクールにホラー作品を出す』

僕はその行為は負け戦だと思っている。

てかぶっちゃけ、言わないだけでコンクーラーならみんなが思っている。

だからこの畑は意外にも、コンクールでは未開の地なのかもしれない。

描ける人も描けなくなる異質なコンクール。

あれ、これチャンスがあるのでは……。

 

この公募に応募する人は、『ジャパニーズホラーか否か』で最初に必ず悩む。

『ジャパニーズホラー』とは、リングの頃から日本に根強く残っているストーリーを重視したジメジメホラーだ。

『リング』や『着信アリ』『仄暗い水の底から』はジャパニーズホラー黄金期を築いた作品たち。

どれもバックボーンが凄まじい。余韻も若干気持ち悪い。

対して海外ホラーはグロめのスプラッター系が多い。

余韻は逆にあっさり。いや、余韻などもはやないと言い切っていい。バックボーンもほとんど描かれていない。

描かれるのは『2』以降の続編である。

僕はそんなイメージを持っている。

今回の募集は犬鳴村や樹海村を手掛けた清水崇監督の企画開発に関するものであるから、

それらの作品からこの公募に求められているものは、ジャパニーズホラーの方なのだろう。

だから、『バックボーンを感じる作品』に仕上げた方が絶対に良い。

読ませてもらった作品は、どれもバックボーンが丁寧で見事だった。流石だと思う。

でも不思議と怖さはあまり感じられなかった。

良い作品、物語で完結しているからだと僕は思った。

観客は悲哀に満ちた運命を見たくてホラー映画を見に行くわけではない。

それはヒューマン畑で出来ること。

ここでシナリオ仲間が言っていたことを思い出す。

ホラー映画はアトラクションと同じ

観客が何を見たいかって

 

畏怖と未知

 

怖いものが何かって、

 

知らない存在

 

見たこともない状況

 

そこに好奇心が生まれる。

映像を通して最大限にそれらを魅せられるものが『人の死』。

これこそがホラーの本質だと僕は思った。

つまり、『死に方』は絶対に工夫しなければならない。

人の死を描かないと、どれだけバックボーンを練っても怖くない。

 

人がどういう状況に陥って、どう死んでいくのか

 

ここに作家としての変態性をどれだけ盛り込めるか。

この公募はそこが焦点に思えた。『死』が丸々抜けた作品は怖くない。

 

よくこんなもの思いついたな。お前とは友だちになれねーわ

 

そうプロデューサーに言わせるくらいのものを描いてこそ、だ。

引かれてナンボ。たかがビジネスパートナーだ。友だちは別に作ろう。

その点で自分で言うのもあれだけど、よく描けた。

不思議とポンポン出てきた。

僕は根っからの変態なのかもしれない。

 

そんなこんなで無事に完成。応募も完了。

 

フッ。ホラー映画デビューも悪くないな

 

と思ってニヤついている自分が気持ち悪い。

でもそんな自分だから、シナリオを描いているのかなとも思った。

プロになったらこの変態性に感謝しなければ。

 

つーか早くプロにならねーと、このままじゃただの変態野郎だ。苦笑

 


 

今回の募集にも、他にいくつか条件があった。

 

『ホラーであること』

は前提条件だったから今日はメインにガッツリ書いたけども、

このあとがきコーナーでは他の条件についても触れていきたい。

さて、早速見ていこう。

 

・10~20代前半の女性が主人公

・クローズドサークルの要素があること

・水が出てくる話

 

これら3つは『必須』とのことだった。

抜けがあったら要項外で即アウト。

それは論外なので次へ行く。

 

まず『主人公の性別と年齢』について考える。

 

これをそのままの意味で捉えるのはかなり危険だ。

主人公の年齢と性別を定めるのは、『鬼』強い縛りだからだ。

これはキャストが決まっていて「宛て書きしろ」という募集ではない。

なぜならこの応募プロットは映像化されないと公言されているから。

自由な発想を限定してまで、なぜこのきつい縛りを設けたか。

コンクール主催者の意図、そこまでを考えなければならないだろう。

つまりこの主人公の性別年齢制限は、

10代~20代前半の女性の悩みや苦しみ、葛藤を描く必要がある

ということだ。

ホラー映画にも当然ドラマ要素は必要だ。

ジャパニーズホラーを描く以上、化け物がただ2時間暴れてバイバイする話では響かない。

ストーリーの軸になるドラマ部分は何か。

ここに"10代~20代前半の女性を宛てろ"という課題に僕は思えた。

だからただ主人公をその設定にするだけでは不十分。

筆者のドラマ構成力がめちゃくちゃ求められている。

脚本家の十八番を見せる時。

ここで力を発揮出来なかった人は、正直辛い気がする。

 

今回の公募は条件のほとんどに裏意図があったと僕は思っている。

気軽に書けそうに思えて実はかなり考えられた公募で、A4一枚とはいえ応募作品の質に大きな差の出るコンクールに思えた。

プロもセミプロも参加可能なコンクールであるから、これだけ考えてもまだまだ一次圏外だろう。

 

次。

『クローズドサークルの要素があること』

クローズドサークルはミステリーではお馴染みで、金田一シリーズが大好きな僕はこの状況がかなり好きだ。

クローズドサークルとは、

外界との接触が断たれた空間、状況のこと。

嵐の孤島だったり、雪山の別荘、入り口の開かないデパート、走行中の電車etc。

色んな状況がある。そこに主人公たちを閉じ込めろってわけ。

この条件にも出題意図が必ずある。

これに関しては本記事のホラー考察に一度戻って考えてみてほしい。

畏怖、未知、好奇心。

これがホラーの三要素。

条件に並んでいる以上、クローズドサークルはここに連動している必要がある。

恐ろしすぎるクローズドサークル(畏怖)、見たこともないクローズドサークル(未知)、魅力に溢れるクローズドサークル(好奇心)。

そして何より、クローズドサークルだからこそ起こり得る『恐怖』、つまりこの記事で言うところの『人の死に方』。

そこまで考えて舞台設定をしろって課題。

上記を抑えて、オリジナリティを追求すればいい。

発想力、アイデア力を見られている気がする。

変態はここで本領を発揮する。

 

そして最後。

『水がある場所を物語に登場させる』

条件の中で、多分これが一番難しい。

これまでと同様に、これもただ水辺を出せば良いわけではない。

リングの井戸、仄暗い水の底からの生活用水。

ジャパニーズホラーという言葉に湿度を感じるのは、モンスターに水が関係しているからかもしれない。

だから同じように水の場所にまつわるモンスターを生み出すのも一応はあり。

でも、リングや仄暗い水の底からは

 

『越えられなくね?』

 

と思う。

あまりにも市場が強すぎる。

ジェットコースターが二つあってどちらも回転式だったなら、回転数が多いコースターに普通は乗る。

もちろんネームバリューでも負けている分、同レベルであれば事実上敗北している。

だからリングや仄暗い水の底からを越えられないなら、それは『未知』や『好奇心』の要件を満たせていない。

悪手になる。

だからこの水に関しては、僕も結構考えた。

そして導き出した結論。

 

好きに使え

 

ということだ。

多分だけど、『水』という場所をどう使ってくるか。

それを審査側は見たいのだと思う。

水って色んなものになる。場所も限定されるようで全くだ。

道端の水溜りからでさえホラーは作れるのだから……。

その意外性を見られているように思える。

主催者をニッコリさせられるような『未知』の奇抜さがあればグッド。

ちなみに僕は今回の公募のスローガン『世界はお前のもの―the world is yours-』を唱えながら考えた。

描き終えた時、

『この世界は間違いなく俺のものだ』

と思える作品が出来た。

まあなんというか、何者も恐れない神様になりきって水を使えってことだったように思える。

 

以上である。

考察を描いてみると凄まじい文量になった。

A4一枚1000文字程度の公募に、7000字以上書いている。

それくらい考えられた公募だった。

あっさりと一次落ちもある。

 

1000文字程度じゃ文字数が足りないという人。

気持ちはよく分かる。僕も足りなかった。

A4一枚に収まれば良いだろうと1000文字『程度』に甘えて僕は多少オーバーした。

今日描いた7000字を1000字に収めて押し込むことが大事。

 

 

ひとまずお疲れさまでした。

 

結果は今月中に出るらしい。

早いのは助かるけども、落ちた時を思うと出ないで欲しい。苦笑

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