雑記 思い出

【第33回】ヤングシナリオ大賞、一次審査!何も言えねえっ!!!

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第33回ヤングシナリオ大賞の一次審査の結果を見たぞー!!


 

例年より締切が1ヶ月遅かったからか、一次審査の結果発表がいつになるか全く分からなかった第33回ヤングシナリオ大賞。

色んな人から『結果が待ち遠しい』という声を何度も聞いた。

そんな中で僕は

『結果なんか出んな。その方がみんな幸せなんだ』

と内心で思っていた。

 

が、

遂に結果が出た。出てしまった。

 

僕は周りの人ほど結果を楽しみにしていなかった。

というのも、構想から執筆まで一日で描いたものを出した。

当時、アイデアなんか一つも思いつかなかった。

何を描けば良いのかまーったく分からない迷子状態。いわゆるスランプってやつ。

もうヤンシナは無理だ……と諦めて、締切24時間前までゲームをしていた。

それでもウオオオオオっと全力疾走で24時間走りきった。走りきろうと思った理由は前記事を読んで欲しい。

シナリオ仲間の女の子にケツを蹴られたのだ。

激闘があったはずなのに、どんな話を描いたのか全く記憶がない。

過去の記事を読み返してみたら、どうやら僕は『脳内爺』を飼って一緒に執筆をしていたらしい。

文面から既にその狂いっぷりが伝わるだろう。

薬でもやってたんじゃねーかってくらいハイだった。

どうやら人はライターズハイになると人格が分裂するらしい。

一人で会話しながら描いていた。

あれもあれで刺激的な一日だったな……(達観)

だからもう、書き上げたことだけで花丸だった。

結果は二の次。あの状態から応募出来ただけで、格好良いふろゆさんでいられた。

 

でもね、一応結果は見る。出したからには見るでしょうよ。

描き方を変える前に書いた、闇雲に描いた最後の作品が今作だった。

期待はない。でも、思い入れはある。

ダメでもいいんだ。あわよくばワンチャンス。

そんな気持ちだった。

 

……。

飛んだ

 

なんと一次を通過していた。

初めて描いたロードムービー。それも一日で描いた作品がまさか通るなんて……。

ワンチャンスもらった。

爺からのプレゼントだと思った。

5年間描き続けてきた自分(爺)からの。

 

最近の僕の通過ラッシュ、これは決して運が上振れているわけではない。

【ドラマ】という化け物の姿形を見極め、ちゃんと『面白い』をぶつけている。その結果だ。

しかし、この作品は描き方を変える前の作品だった。

確かに魂で描いた。鬼気迫るもの、熱意が作品に込められていた。

でも、それは闇雲に振った剣が化け物に当たっただけ。会心の一撃は振り込めていない。

だから今回の通過は奇跡。と言っていい。

残念ながら二次通過はない。

この記事で書いた、『運』通過ってやつをしてしまった。

偉そうなことは何も言えねえ……。

 

でも、やっぱり通過は嬉しい。

出して良かった。

だめだ全然描けねえ……と諦めていたけれど、最後の24時間を諦めずに走り続けて良かった。

女の子にケツ蹴られて描き始めたのを思い出したら情けなくて笑えるけど。

 

 

通過した方々、おめでとうございます!!

 

そして自分にも、おめでとう!!!

 


 

1年ほど前、僕は高校生にシナリオを教え始めた

というのも突然メールが届き、自信満々で『読んでください』と送られてきたドラマシナリオが既存作品のツギハギ。

MADムービーと言えば良いのだろうか。実写ドラマの作品なのに、既存アニメのキャラクターが出てきて、有名なセリフを交えて会話をしていた。

それでいて誤字脱字、書式もミスだらけ。

コンクール勝率0%を振り切った作品だったのだ。

その作品は誰が見ても分かるくらいひどい出来栄えで、

『先に読んでくれた他の人(コンクーラーの人)は面白いと絶賛でした。ふろゆさんはどう思いますか?』

と言っていたことに心を痛めた(感想を送るのに困った)僕は、『この子に基礎を教えよう』と本人のやる気を確認した後に、師弟関係を組むことにした。

『この作品面白いね!』と簡単に言う大人、『あなたには才能があるよ』と簡単に言う大人。

それは優しさから言うのかもしれないけれど、僕にはとても無責任な言葉に思える。

傷つけたくないから正直な感想や本音を言えない気持ちも分かる。

でも、大人だからこそ、先輩だからこそ、若い人とはしっかりと向き合ってあげてほしい。

 

ちなみにこの高校生に教えると決めた後、送られてきた作品に関して僕はボロクソに言った。

それが師弟として向き合う最初の儀式だった。

そして

『ふろゆさんの眼は、おかしいです。他の人は面白いって言ってくれました』

と、無事にクッソ嫌なヤツ認定された。

この嫌われる覚悟が大人には必要なのだと思う。

時に若い芽を摘む結果になるのかもしれないけれど、勘違いしたまま走らせることを親切や優しさだと僕は思えない。

 

 

それで1ヶ月間書式と基礎を教え、師弟関係を解除した。

『ここから先は君の創作だ』

そう言って、僕も自分の創作に目を向けた。

でも、その後も何度も創作論について質問の連絡が届いた。

 

正直、僕がここから先を教えるのは気が引けた。

作家性を含んだ『らしさ』を学生に教えられるほど、僕はドラマが描けなかったから。

それでも他に頼れる人、学校もないようで、もう最後までやったるか……と、ドラマ論や創作論、構成術をおすすめの本や映画を参考に教え続けた。

出来るだけ作家性を殺さないよう、十分に配慮はしてきたつもりだ。

 

ちなみに、作品の添削は一切しなかった。

やったのは5枚シナリオの時だけ。(書式限定)

それ以上をやるのは、師弟の域を越えていると思った。

質問されたことに対して回答し、アウトプットをさせて真に理解が出来ているか確認をする。

その繰り返し。

そんなことを一年間、続けてきた。

 

そんな高校生が、

 

このヤンシナで一次を通過した

 

自分で考え、プロットを練り、ドラマを描き、推敲、応募した作品が通過したのだ。

間違いなく本人の実力で通過した。

あの誤字脱字MADムービーを自信満々で送ってきたあの子が1年で。

それが何だか自分のことのように嬉しかった。

ぶっちゃけ自分の作品の通過より驚いたし喜んだ。

正直結果が出るのはまだまだ先かなーと思っていた。

落ちてメンタルが削られつつも、作品を見直す機会を享受する。

これを繰り返すことで強くなるのが脚本家だと思っていたから、とりあえず描いて出し続けろと言っていたんだよ。

まさかヤンシナ一次を通るとは……。

 

これを僕のおかげだと驕るつもりは毛頭ない。

でもきっと、あそこで見捨てていたら今回の結果はまた違ったものになっていたのではなかろうか。

とは思っている。

 

ヒカルの碁の佐為の気分っつーのかな。

 

ただただ、嬉しいんだよ。

当時『教える』という判断をした自分に、『よくやった!!』と言ってやりたい。

こんな僕でも一人の若い笑顔を生み出せたのだから。

 

しかし、僕もウカウカしてられないな。

追い越されるわけにはいかない。

 

描くぞーー!!!!

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