こんにちは。ふろゆです。
最近すこーしだけ忙しいです。就職活動うまくいかないなー。
さて、今日は脚本家志望の方にオススメの本を紹介します。
ヒットドラマはこうして作られる「脚本家という仕事」
と
西尾維新さん著の「本題」
この2冊!
まずは1冊目、
ヒットドラマはこうして作られる「脚本家という仕事」
この本、発売前から巷で話題になっていてすごく気になっていたんですよね。
知っている人も多いのではないでしょうか。
僕も発売されてすぐ買っちゃいました!
内容は著名な脚本家さんたちへのインタビューが主ですね。
最後の方にはプロデューサーさんやヤンシナの審査員長へのインタビューもありました。
第一線で脚本を書いている脚本家さんたちの声が文字を通してですが聴けるのはとても刺激的ですね。
それぞれに
「こんな風に脚本を書いているんだ」
とか思ったり、
「(昔の話なんかを読んで)だからこういう作風なのかー」
とか思ったり、
シナリオ歴やシナリオロードって言うのかな、それぞれの脚本家人生を読んで、自分の将来のビジョンも妄想してみたり……、とお値段以上に楽しめます。
あとはそれぞれがシナリオを書く上で大切にしていることなんかも知ることが出来て面白かったです。
僕はヤンシナの審査員長へのインタビューが特に面白かったですね。
コンクールLOVERだからね!特にヤンシナ!
やっぱりなーと思ったのは「セリフ」はめちゃくちゃ重要だということ。
脚本は文量だけで言えばセリフが7割以上を占めるから当たり前っちゃ当たり前なんだけど、
セリフは鬼大事
これを再確認できました。
ここでは簡単にセリフって言われているけれど、
良いセリフって構成で情緒を積み上げたところにドーンって来るやつだからね。
韻を踏んでるとか大喜利とかそういう短絡的な方法じゃなくてね。まあ評価はされるけども。
でもセリフが大事って言われても難しいよね。
「おはよう」の一言でさえ状況に寄っては神セリフになるような世界なんだから……。
あとポイントっぽいのは、
取材をしっかりとした方が良い→凝った内容を求めてる?
コンクールのマニュアル通りのシナリオはつまらない→既成概念じゃなく固定観念で書け?
と思えましたね。
これは僕が勝手に思っただけなんで、興味持った方なんかは実際に読んでみて各々感想を持った方が良いかも?
まー、僕はこの辺りはあまり考えずに面白いものをと書いちゃいますけど!
これ以上、本について詳しく書くと出版界の偉い人に消されるかもしれないので、
詳しくは本屋にGO!!
続いて2冊目!
西尾維新さん著の「本題」
この本は"ぜひー"とコメントでオススメいただいたのでAmazonでポチーっと購入。
中古で買ったこともあり、
タバコの臭いがハンパねぇ!!
臭いにむせて咳込みながら読みました。
偶然にもこちらも対談方式の内容。
中身は「戯言シリーズ」や「物語シリーズ」で有名な「西尾維新」さんが著名な作家さんにインタビューを行っているといった具合。
その相手は漫画家さんだったり小説家さんだったりと様々ですが、「創作物を書く」という点では脚本家とほぼ同じですね。
媒体は違えど創作者特有の苦悩なんかはすごく共感できるものが多かったです。
僕が良いなって思ったのは、
小林賢太郎さんの
完成した後どんな褒められ方をしたいのか
というビジョンのお話。
みなさんはシナリオを通して(見てもらって)、どんな褒められ方をしたいかって考えたことはありますか?
僕は「面白いものを書いて視聴者を笑顔に」を念頭にいつもシナリオを書いています。
それが僕の最高の自己満足の形なんですよね。
これなしじゃシナリオなんて書いてられない。
自分だけの最高傑作を書けば満足ってわけじゃないんですよね。絶対に相手方は欲しい。
孤高の芸術家ってよりはピエロみたいな存在です。
綺麗事に聞こえるかもしれませんが、"未来の視聴者の笑顔"が僕がシナリオを書き続けるモチベーションなんですよね。
ただこれって裏返すと「この作品面白ぇええ!!」って褒められたい願望の現れなんですよ。
この辺りの自覚がなかったというか、この本を読んでその自覚が持てたことが良かったなって。
ま、偏に「面白いもの」と言ってもその形は多岐にわたるから、
完成した後どんな褒められ方をしたいのか
この答えを出すためには僕はもう一歩、踏み込む必要があるんだろうね。
あとは西尾維新さんの
前回とは違うハードルの設定
という考え方。
これ、すごく素敵だなって思いました。
シナリオを書く時に「ハードル」を作品に設定するわけです。
昨年のテレ朝シナリオコンクールの「初恋で書いてこい」なんかはモロそれですね。
そういえば、テレ朝の二次発表ありましたね。通過した方おめでとうございます。(僕は一次落ちです)
ここで再びみなさんに質問です。
脚本にハードルって何のために設定すると思いますか?
A.前作(昔の自分)を越えるため、成長するため。
これが一般回答だと思うんですよ。
でも西尾維新さんは
A.ハードルがあるから以前とは違った作品が書ける。
……。
感服です。
そういう考え方もあるのか……。シナリオ書く人ならこの違い、ピーンと来るはず。
やっぱり一人の人間がシナリオを書くとなると作品がどこか前作と似てくるんですよね。
それを「らしさ」って言えば聞こえは良いんですけど、それじゃきっといつか飽きられてしまう。
だから成長し続けるんじゃない、(成長はむしろ間違いだと言っても良いくらいです)
新しいものを生み出し続ける
そのために自ら作品にハードルを設定する。
ハードルってよりは「枷」って言うのかな。
枷を設定して書くからこそ、以前とは違ったものが書けるって考え方です。
点数化できないこの業界ならではの考え方ですね。
上に伸びるのではなく、横に広がるんです。
僕はテレ朝シナリオコンクールの「初恋」というジャンル設定は間違いなくネガティブな方に感じていました。
だから「初恋」という設定が邪魔で邪魔で仕方がなかった。実際に全く書けなかったし、きっと面白くなかった。(一時落ちだし)
でも見方を変えると、「初恋」にチャレンジしたことで自分が今まで書いてきたものとは別の、"新しいもの"を生み出せたのは確かだったりするんですよ。妙なものではあったけども。
その経験が今のところ一番近いのかなって。(面白いものを書けなきゃダメなんだけどさ)
プロの脚本家になったらオリジナルの脚本なんてそうそう書かせてもらえない。
現実は原作ありの脚色のお仕事ばかりだ。
こんなことを業界を知っている人から、さも悪いことのように言われることって結構多いと思います。(現実を知りなさい的な?)
でもこの考え方を引用するだけで、
え、それってむしろ良いことじゃん
って思えません?
原作ありの脚色。
最高の「枷」じゃないですか。
むしろ積極的に経験していきたいですね。
今出来ることは低くても良いから自発的にハードルを設定して書いてみることですね。
長くなっちゃいましたけど、僕でもササーッと読み終えてしまうくらいに内容が濃くて面白い本でした。
この本についてはもっと書きたいことがいっぱいあったのですが、きっと長くなってしまうので、
興味ある方は本屋に行ってください。
こういうインタビュー形式の本はサクサク読めて良いですね。
脚本家さんだったり小説家さんだったり漫画家さんだったりと、創作するプロの考え方が知れてとても面白いです。
ただ一つだけ注意点を。
この2冊の本。
決して正解が書かれているわけではありません。
勉強目的ならシナリオの指南書を買った方が良いです。
どちらかというとこの手の本は自己啓発本に近いんですよね。
影響を受けて自分を定めるわけではなく、あくまで自分を見つけるための本。
だから影響を受けすぎるのはあまり良くないと思います。
脚本に最適解がないように、脚本家にも正解はないんです。
作品が面白ければ正義の世界ですもん。
書き方なんて十人十色。それが当然です。
ドラマをたくさん見て育った脚本家さんもいれば、
ドラマを逆に全く見ない脚本家さんだっている。
どちらの道も正しいと思います。(今回の本でも両者いましたし。勿論どちらも第一線のプロですよ)
よくいるんですよね、
「脚本家目指してんのにドラマほとんど見てないとかやる気あんの?インプット足りてる??」
みたいなことを平気で言う人。
「脚本家とはこうあるべきだー」ってのは僕が一番嫌いな考え方です。
悲しきかなこういう考えを持っている人ほどそれを押し付けてくる人が多い。
この世界は多様性があるから素敵なんですよ。みんな同じじゃつまらない。
この手の本にはその辺りの怖さが入ってるのかなぁとちょっと思ってしまいました。
僕らにとっては憧れの存在ばかりが載っているからね。
悪い意味でそちらに流されてしまうことがある。必要以上に考えが固まってしまうことがある。
だから「こういう脚本家もいるんだーへぇー」みたいな共感目的での購入をおすすめします。
自己啓発本を読む人って自分に自信がない人が多いらしく、鬱傾向が強いらしいです。
自信がないから成功している人の本(自己啓発本)を読んで自分を成功者のマインドに出来るだけ近づけようとするわけです。
つまり「自己否定」というコンプレックスを上書きするために自己啓発本に手を出すんですね。
そうやって出来上がった"成功者マインド人間"は自己否定の名の元に、
成功者マインドを持っていない人を過去の自分と照らし合わせて傷つける傾向があるんです。
これって実際は他人を傷つけてますけど、「自傷行為」みたいですよね。
他者に過去の自分を投影して切り刻んでいるわけですから。
点数化出来ない世界だからこそ不安になって他者にマウントを取りたくなる気持ち、分からなくもないけどね。
認められるには結果で示すしかないよ。
脚本家志望相手に脚本家志望がマウントを取っても滑稽だし、逆に心が擦り減っちゃうだけ。
今回紹介した2冊は脚本家のための自己啓発本っぽい属性があるかなーと思ったので、
これらの本との「付き合い方」は書いた方が良いかなと思って書きました。
"憧れ"って時に怖いものです。だから模倣はやり過ぎないようにね!
ただ、付き合い方さえ間違えなければ文句なしに面白い2冊ですよ。
僕は根拠を求めない自信家なのでこの手の話とは無縁です。