脚本を書く行程で一番好きな作業ってどこですか?
それはもちろん、シナリオを考えて書いているところですよね。
パソコンでキーボードを叩きながら脚本を書く時間が好きで楽しくてしょうがない。
ずっとでも書いていたい。ずっと考えていたい。
朝から晩まで脚本のことだけを毎日、毎日……。
と言えたらどれだけいいか。
書きたいことをデザインしたり、構想を文字に起こす、
それが好きで脚本を書いている人って多いと思います。
僕もそうです。
純粋に文字を書くことが好きってよりは映像化までを踏まえて考える行程が好きです。
ただ、脚本を書く時って頭をめちゃくちゃ使いますよね。
自分の出せる限界を常に考えているわけですから。それも書き続けている間はずっと。
これがしんどい。
もちろんやりがいはありますし嫌いじゃないんです。
それでも、普段からずっとやっていられるかって言われると難しい。
なので僕は書くと決めたら一気に書き進めて初稿を完成させます。
丸一日、朝から晩まで書き続けた後、気絶したかのように眠る。
僕は集中力が続く方なのですが、切れるとさっぱり。なのでこんな書き方をしています。
短期集中型です。
1つの作品に対して1日200字とか1日1枚、数か月で1作品完成みたいな感じで書いている人がすごいなぁって思っています。
僕はそういった継続的に書くみたいなことは一切しないし、できません。
長期継続型とでも呼びましょうか。はぁ、できる人が羨ましい。モチベーション維持できる何かをください。
ただ短期集中型の中では初稿が上がるのは早い方だと思っているのでその時間を添削に充てています。
ちなみに僕が脚本を書く行程で一番好きな作業はこの「添削」です。
これ以上ないくらいに頭を使って、しんどいなぁと思いながらも、
出来上がった作品について、
「あーここをこうするともっと面白いな」と書き直す作業。
これが一番楽しいしやりがいがある。
10ページ単位で消えることやそれこそ丸々ボツになることもよくあるんですが、
一度完成したものを更に良くしていく行程がめちゃくちゃ好きなんですよね。
さて、短期集中型で書いていて良かったと思う小話を一つ。
一年前、自分を追い込んで限界まで頑張った時に知恵熱が出たことがありました。
体温38度超えです。頭がほんわかします。
この時、湯水のように脚本のアイデアが出てきて、すごかったんです。
まるで世界の神にでもなったかのような、全ての理(ことわり)を理解したような感覚。
嘘っぽいですけど本当の話ですよ。脳が熱で焼けてたんですかね。
でもね、当時はめちゃくちゃ感動して、体が震えました。やっぱり熱で。
それは「そうか。こうやって生きれば良かったんだ」と人生観がガラっと変わって、
過去の自分の人生を恥ずかしく思うくらいの衝撃で。
きっとライターズハイってやつです。
ライターズハイって詳しく知らないんですけど使わせてもらいます。
あれはライターズハイです。はい。
人間の脳は普段100%使われることなんてないわけですが、この時は100%が近かったのかもしれません。
流石に38度あるうちは、アイデアをノートに書き溜めて療養しました。
無事に熱も下がり、執筆に心躍らせながらノートを開き、
アイデアを改めて見直したのですが、全く意味がわからず。
いったい何に感動していたのだろうか。これのどこに感動したのだろうか。
世界の理とは一体……。
完治と同時に失ってしまった。
この時、恐ろしいほどの虚無感に襲われました。
答えが知りたくて、やっと熱が冷めたにも関わらず湯船に冷水を溜めて水に浸かり、
再び熱を出そうとしました。
それも一年前のフジテレビヤングシナリオ大賞の締切間近(勿論出す予定)、
冬のインフルエンザの流行っていた時期にです。
改めて頭おかしいなって思うんですけど、
それくらいライターズハイの感覚ってすごかったんです。
多分同じことがまた起こったらまた水風呂に入るんじゃないかな。
当時は結局、風邪になっただけで悟りも開けず終わってしまったんですが……。
さて、このライターズハイ事件。
僕が熱で頭がおかしくなっただけの事件かもしれません。
むしろその可能性の方が高いです。
それでも、脚本の世界の可能性を僕に教えてくれる良いキッカケになったんですよね。
実は今でもそこを終点に走っているんです。
色んな作品を通して成長して、ライターズハイにならずして自分の力で再現したい。
冬に水風呂に入ってまで味わい直したい、あの依存症にも近い感覚や感動を。
それを脚本という形にして視聴者に発信することができたら……
間違いなく化け物コンテンツです。
夢、広がりませんか?
この記事、結局何が書きたかったのか……。
ライターズハイには僕の中でもう1つ意味があって、
原稿を書き上げた直後、よく見たら面白くないのに、
「あれ?これやばい作品できたんじゃない?」って思っちゃう、大賞取れるんじゃないかって舞い上がるあの感覚。
あれもライターズハイです。本来こっちで使われる方が多いんじゃないかな。
添削すれば良い出来なのにもう既に最高の作品だと勘違いして初稿をそのまま出稿してしまうという。
自分の作品の可能性を自分で殺してしまうんですね。
これは下手すると審査に落ちるまで続く厄介なやつです。
コンクールの結果発表後、
「何で俺の作品が一次落ちなんだ!?大賞より面白いだろ???アァン?怒」
とか思ってしまったら要注意です。落ちてなお、未だに気づけていないという。
そこまでくるとライターズシックです。
これは下手すると一生勘違いの中で生きてしまう可能性のある代物です。
ライターズシック、なっていませんか?
早めの自己診断が大事です。
こっちのライターズシックはめちゃくちゃ恐ろしいので気を付けていきましょう。(自戒)