脚本の技術

【第1回】5枚シナリオ・起承転結とプロットのお話

投稿日:2020年3月20日

最近の画像が甘すぎるから子犬を間に挟もう


 

週1で課題を出して出来上がった作品を添削。

フィードバックは急いで行わないとすぐに次の作品の締切がやってくる。

その文量が凄まじいからこうやってブログに……。

結果……

更新頻度が凄まじい!!(良いコト)


 

今日は、

 

ドラマシナリオの起承転結について!

 

をシナリオを始めたばかりの人たちに向けて僕なりに書いていきます。

僕も初心者だけどね!(4年目)

【第1回】5枚シナリオの内容を軸に話を進めますので、まだ読んでいない方は先にそちらをどうぞ。

 


 

※シナリオの書き方は人それぞれ、考え方も人それぞれ。

そこに答えなんてないです。

だから僕のブログは参考までに読んでください。

また、僕は「先生」と呼ばれるにはあまりにも未熟で、

人に物事を教えられるほど大層な人間でも決してありません。

だから一応書いておきます。

シナリオ初心者の方は、

・行けるならシナリオを学べる学校に通った方が良い

・シナリオの指南書は購入して読んだ方が良い

です。

シナリオの書き方を学びたいならそれが一番早いかと思います。

僕のブログに頼るのはもう、本当に最終手段だと思ってください。


 

物語には必ず起承転結が存在します。

例えば桃太郎を例に挙げてみると……

川から流れてきた桃をお婆さんが拾う。中から桃太郎が生まれる(起)

 

鬼退治に行くことに決める桃太郎。道中で動物の仲間が出来る(承)

 

鬼ヶ島に到着。仲間たちと共に鬼を懲らしめる(転)

 

鬼ヶ島から金銀財宝を強奪。めでたしめでたし(結)

 

とまぁこんな具合です。

こうやって書いてみると桃太郎って、

全く情緒がないな!

このままではドラマじゃないので仕方がない。

昔話の行間って哲学地味てるのよね。

 

もちろんドラマシナリオにも起承転結は存在します。

これから僕の考えで申し訳ないけれど、

ドラマシナリオの起承転結の役割をざっくりと書いていきますね。


 

『起』

物語の導入シーンです。

この物語は「主人公が誰」なのか。

「主人公の目的(表面的なもの)は何」なのか。

それをしっかりと(視聴者に向けて)書いていきます。

これらは説明的な描写になりがちなところが難しいですね。

シナリオを教える大先生方々は、

「ファーストシーンは魅力的に!」とよく言いますが、

それが上述した説明的要素を兼ねていないシーンだと、

どれだけ画が斬新でも僕は微妙に感じてしまいますね。

全体の一割から二割程度の文量。

 

『承』

主人公が目的に向かって「行動する」シーンです。

ここで僕たちは脚本家という名の神になり、様々な妨害工作を行って主人公をいじめ抜いていくわけですね。

その中で主人公の「精神的葛藤や対立」を浮かび上がらせてくることが、ドラマでは肝だったりします。

この精神的な部分をどう解決するか。

そこが続く転へと繋がってくるため、このパートは超大事です。

「起で書いた表面上の目的」を如何に自然に主人公の「精神的な解放」へと持っていくか。

脚本家の腕の見せどころですね。

意外かもしれませんが、承は全体の半分以上の文量です。

つまりここが面白く書けない人は、正直辛い。

 

『転』

当初の目的を達成できるかもしれない事件を起こすか、

これまでの主人公の価値観をぶち壊すどんでん返し的な要素を作品に登場させる場面です。

この時、主人公は様々な思いの中でラストシーンへ向けて最善の道を選択しなければなりません。

その選択結果で問題を解決できるにしろ出来ないにしろ、

一回り主人公が「人として成長」出来る決断を取らせると良いですね。

「主人公が求めていたものは○○(物や立場等の見えるもの)だったけど、真に求めていたものは□□(精神的なもの)だった」

という構造になるとグッドな作品になる印象。

ここがメッセージ性を強く感じるパートですね。

全体文量では一割から二割と意外にも少ないです。

 

『結』

何となく情緒を持たせて終わらせる。

それが結。

物語の終わらせ方は人それぞれなところが面白い。

僕は起承転結で「結」が一番自由度の高いパートなんじゃないかと思っています。

ある意味で一番作家性が出る部分なんじゃないかなぁ。

全体文量の一割ないくらい。

お尻が長いと文字通り「蛇足」になるので、

書きたい欲は程々に、意識してササッと締めましょう。

 


 

今説明した起承転結を分かりやすく、

今回僕が書いた5枚シナリオ「受け身なチョコレート」でも考察していきますね。

初心者の方はこの起承転結をシナリオを書く前にまとめておくことが、

「プロットを書く」ということだと思ってください。

(プロットの書き方は人それぞれなので「僕は違うよっ!」って人はスルーしてもらって結構です)

また巷でよく言われている三幕構成は「起承転結」さえしっかりと書けていれば、

深く考えなくてもよいです。

ほぼ同じことなので。

 


 

『起』

主人公は「春香」。

バレンタインデーの日に上司である宮本にチョコレートを渡そうと思っている。(表面上の目的)

 

『承』

宮本にチョコレートを渡そうとする春香だったが邪魔(桃子)が入り断念することになる。(意地悪)

そんな中、木村と出会う。

年配である木村に「好きでもない人からチョコをもらっても迷惑ですよね?」と問うが、その答えはなかった。(精神的な問題が浮上)

春香は木村に義理でチョコを渡す。

 

『転』

ホワイトデー。

春香は木村からお返しにクッキーを貰う。

微笑む春香。(精神的な成長)

チョコは結局渡せなかったが春香は勇気を出して宮本を飲みに誘う。(問題の解決)

 

『結』

春香を優しく見守っている木村。

貰ったクッキーには木村からの感謝の言葉。(情緒)

 

(終わり)


 

主人公に「チョコレートを渡す」という目的を設定しつつも、

最後は(精神的な)成長をして別の手段で成功をする。

そういう構図のドラマですね。

ちなみに、

「主人公がチョコレートを渡してハッピーエンド!」

というラストでは普通過ぎて面白くないと思います。

そこを変えたのは工夫点の一つかな。

 

5枚シナリオでは当たり前ですが、枚数が5枚しかありません。

なので、しっかりとプロットを練って書かなければすぐに枚数オーバーをしてしまいます。

【起承転結の役割】を自分の中でしっかりと固めて話を書く癖をつけることが書く上でのコツかなって思います。

これはコンクール作品の50枚、60枚でも同じことが言えると僕は思っていて、

プロットをしっかりと書いている人の作品は書かない人に比べると無駄な説明やシーンが一切なく、洗練されていてかつ重厚感もありやっぱり面白いなって思います。

 

みんな、プロット書こうな!!

(書かないとあらすじで困るよ!)

 

プロットを書くも書かないも個人差があります。

なので結論だけ話せば、自分の信じる創作スタイルを突き進めていくと良いと思います。

ただ僕の周りの人たちの傾向だけで話せば、

プロットを書いている人たちの作品の方が面白いように思えます。

これは恐らくなのですが、プロットという形で一度文章化する作業を挟むことによって

頭の中でストーリーの整理が出来ているのだと思います。

シナリオ初心者の方はプロットを書くところからぜひ試してみて欲しいなと思います。


 

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今日書いた起承転結はシナリオ執筆において一見万能に思えますが、

 

グランドホテル方式(群像劇とも言う)

 

のシナリオでは使えません。

グランドホテル方式というのは、

主人公を一人に定めず、色んな立場の人を絡ませて一つの物語を作っていく

方法です。

上手に書ければエンタメ作品を書く上では「最強のスタイル」だと僕は勝手に思っていますが、

正直言って上手に書くのは難しいです。

これは内容どうこうではなく、プロット段階で結構センスがいるのです。

そもそも普通のドラマとは作り方がまるで違うのかなと思います。(書いてみた感じ)

それにグランドホテル方式のシナリオは名作が多い分、世間の評価も厳しめです。

上手に書ければリターンもでかいけど!

なので、シナリオに慣れるまでは書くのはやめておきましょう。(断言)

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