気付けば3月も折り返しを過ぎました。
このブログを見てくれる人からするとすごくどうでもいいことですが、今月22日は僕の誕生日です。もうすぐですね。
僕にとってはまぁまぁなイベントなので書かせてください。
20を超えてから、年を重ねる度にまた一つ大人になってしまうんだなぁと感慨深くなります。
毎度、寂しく思うし情けなくも思う。
なぜなら全く中身が大人になってる気がしない。
できることならこのまま子供のままでいたいと思う自分もいる。ああ情けない!
小さい頃は早く大人になって自由に過ごしたいなんて願っていたけれど、いざ20を超えてみるとね……。
年だけを重ねて、これでいいのか良かったのかとポカーンと穴が空いているみたい。
4月から新年度が始まります。何か新しいことを始めてみようかな!
さて、前置き(誕生日)はおいておき、
遅くなったけれど、
第6回TBS連ドラシナリオ大賞の受賞作を読みました!
2018年月刊ドラマ3月号に載っています。
脚本家志望の人にとって、シナリオ賞の作品を読むことって大事だと思うんですよね。
コンクール作はプロになる以前の人が書いた作品がほとんどですし、
ミスがあったり強引な展開があったりが当たり前です。
なので「だったらプロの作品を読むわ」なんて思いがちですが、
プロの作品を読んでいて気づけないことに気づかせてくれることがよくあります。
脚本家志望という同じ視点だからこそ見えるものがあるんですかね。
それに受賞作は光る物が必ずあって、そのポイントが分かり易く、より勉強になります。
それとこれは月刊ドラマだけかもしれませんが、座談会だったり審査会の意見や感想がシナリオと一緒に読めるってのも大きいですね。
自分以外のシナリオを読んだ人の話を知る機会ってあまりないですから。
なので今回は軽くですが受賞作を読んだ僕の感想を書いていきます。
「シナリオを読んだ一脚本家志望の感想」
これに需要があるか分からないけど、
もしあるのならここに書くことでいつか誰かの役に立てばいいなって思います。
※以下は2018年月刊ドラマ3月号に載っている
第6回TBS連ドラシナリオ大賞受賞作を読んでから見るとより楽しめると思います。
読んでなくてもポイントは掴めるはず!
今回の第6回TBS連ドラシナリオ大賞の受賞作は、
大賞「空の青より、もっと青く」 小田康平さん
佳作「懲戒捜査員 遠山圭吾」 木下幸太郎さん
佳作「こころは七色」 齋藤萌さん
でした。
「空の青より、もっと青く」
今回の大賞作です!
受賞作発表後、
あらすじをサッと読んで陸上の話だと知り、
最近だと陸王がヒットして、オリンピックもあったし、これから日本でもあるし、
タイミングが良かったんかなぁなんて勘ぐっていた自分がいました。
でも、中身は文句なしの本当に良いシナリオでした。
読んでいてすごく心地よかった。
簡潔に書くと高校生で陸上部の主人公が怪我でリハビリを行っている時に、義足の足を持つヒロインと仲良くなる話。
形は違えど「走ることができない」という共通項を持った二人が出会うわけです。そして題材は陸上。これ、絶対面白くなるじゃん。
連ドラ作品の一話目の話なのでこの後はどうなるかは分からないけれど、
一見めちゃくちゃ重い話のシリアス展開のようで全く重さを感じない。むしろ穏やかな気持ちにさえしてくれる。
主人公とヒロインの心情がすごく丁寧に書かれていて双方に感情移入がし易かったです。
それに上手くまとまっていて展開も綺麗。それでいて作品に既視感を全く感じなかった。
これって結構すごいことなんですよ。上手くまとまればまとまるほどそれだけ既視感は付いてくるものですから。
あとは1話内で「テーマ」が設定されていてそれが解決していたのも良かった。
1話では、
「陸上選手としての自分を諦める」
その決断が綺麗に1話内のドラマになっていました。
まるで最終回のような大きな決断を1話目にして主人公が行うという大胆さ。
決断が大きいだけにメッセージ性も力強かったです。
そして今後も面白くなっていきそうな伏線がたくさん散りばめられていました。
1話完結ドラマのようなまとまりを見せつつも縦軸の伏線を並行して散りばめる。
「TBS連ドラシナリオ大賞」だからこその強みが発揮されていましたね。
上手い。
「懲戒捜査員 遠山圭吾」
佳作に選ばれた1本です。
人名の入ったタイトルってそれだけで面白くない印象があります。
タイトルは人名だけあって個性もあってインパクトが強いんですけどね。
こういったタイトルの作品は中身を見てみると作家が作品に入り込みすぎてしまって周りが見えていないものが多い気がします。
これは僕の偏見です。例外で「半沢直樹」とか面白い作品もありますし。
で、今回のこの作品は……。
すごく面白かった!
ああ、やっぱり偏見だったんだなぁと自分を叱咤。
この作品、タイトルを見て懲戒捜査って何だろうと読み始めるわけですが、
その説明が上手にドラマに刷り込まれています。
「前説明が必要な難しい設定や状況は、途中から話を走らせろ」
なんて言いますが、これが実際に書いてみると難しい。
この書き方は説明を小出しにしていかないといけないから中だるみし易いんですよね。
それを事件?を通して退屈しないよう、上手くやってのけていました。
それと今後の展開を最後にあえてちょろっと出すことで、
「ああ、この作品はこういう作品か」と2話目以降を窺わせることができるところも良かったです。
視聴者に先を読ませることってマイナスなことだと思われがちですが、
上手く読ませることで一種の興奮だったり快感だったり、期待になったりするんですよね。
「こころは七色」
この作品も佳作です。
主人公(男)と小説家(男)のゲイカップルの家に、主人公と別れた彼女の娘(主人公の実子)が1か月同居するというお話。
家族ものの類かな。
うーん……。
正直、好みじゃなかったです。
自分がゲイじゃないだけに主要人物に全く感情移入ができなかった。
終始これに尽きます。娘も年齢が8歳で女の子だからか僕とは離れすぎていて全く気持ちが入らない。
女の人なら割り切って主人公に感情移入ができるのかな。
僕は想像力不足からか、ゲイに対する理解の足りなさからか、面白さが分からなかったです。
言い訳させてもらえるなら、ゲイが人生で周りに一人もいなかったというのもある。もちろん娘もいないし。
ただ”共感覚”と呼ばれる知覚現象は今後の展開が面白そうでした。
造語なのかなって思っていたけど調べてみると実際にあるみたいで、作中では言葉に色が見えるとか。
その設定を今後ドラマを通してどう活かしていくのかなって好奇心に近いものを感じました。
あと、「僕の人生は灰色一色だよ」なんて言っていた思春期の自分をふと思い出しました。
うーん。でもやっぱりゲイカップルが主人公ってのがなぁ。
どの層を狙った作品なんだろうなって。腐女子?
……そもそもゲイである必要があったのかな。
すみません。建設的なコメントが何も書けないので終わります。
そんなこんなで3作品読み終えての感想でした!
コンクール受賞作を読むと良い刺激になりますね。
連ドラ前提の賞だからこその味が出ていて面白かったです。
この賞には出したことがなかったので次は挑戦してみようかな。筆力上がりそう!
次の受賞作の感想はこの間発表のあったWowWowシナリオ大賞になると思います。
まだ先だけど、月刊ドラマ5月号辺りに載ってくるはず!
ちなみに3月21日には昨年WowWowで賞を取った「食い逃げキラー」が放送されます。
時間があったら見たいと思います。
予告が面白そう!
モヤッとしたお話。
月刊ドラマでは賞が選ばれるまでの審査会での話し合いの過程が載っています。
これはプロデューサーさんだったり脚本家さんだったりが
「こういうところ見ているんだ」
といった審査員の判断基準や声を知ることができる良いコーナーです。
それを読んでいて、ちょっと思ったことがあったので。
今回のTBS連ドラシナリオ大賞では大賞と佳作候補に4作品が選ばれていました。
これは入選作がいくつか(11作品かな)あって、全てを点数化してその合計点が良い順に4作品です。
で、大賞は多数決で「これだね」とストンと決まったのだけど、
佳作は1本が連ドラ向きじゃなかったからじゃあ残った2作でーみたいな感じで決まりました。
佳作の作品も面白かったし良いところがいっぱいあったから、消去法では選んでほしくなかったなって思っちゃって。
コンクールは賞レースだし、確かに傾向や対策みたいなものを計算する力って大事だと思うけど、
脚本みたいな厳密な点数を付けることが難しいものをこういう大きな賞で選ぶ際には純粋に面白いなって思える順番、
1位が決まって2位、そして3位と素直に上から順に決まっていってほしかった。
面白さの甲乙がつけ難くて、2位と3位は順不同。どっちも佳作!とかなら分かるんだけど、
消去法だと選ばれた人も選ばれなかった人も浮かばれないよなぁ。
連ドラ向きじゃないからとその一点で一蹴されるのも、それで2位3位が決定というのは何か違う。
そんなことを思いました。
実際に面白い作品が賞を取っているし今回の結果に不満があるわけじゃないんだけどね。
そもそも今回は出してもいない。
ただ最後の選考方法だけが引っ掛かった。
もし自分が当事者だったらと思うと……嫌だな。
全力で負けたいし全力で勝ちたい。
すみません、独り言でした。