限界を超えた戦い
伊参スタジオ映画祭の〆切(7/1)が終わりました。
みんなお疲れ!
NHK創作テレビドラマ〆の翌日ということもあって、元々出す予定のなかったコンクールでしたが、NHK創作、WDRプロットと提出した勢いでもうこのまま描いてしまおうと眠い目擦らせて頑張った。
構想3時間、執筆6時間です。我ながらハードだった。よく3時間でアイデア出たな……。
無事に出せたので一安心。
〆切15分前とかその辺りに出した。
伊参は初参戦だったので、今日は描いてみた感想ってか伊参が他コンクールと違うなと思った点について、ぼちぼちと記していこうかなーっと思います。
伊参スタジオ映画祭
群馬県にある制作スタジオ?が主催で、受賞後には映画の制作を行います。
んで、その上映までを最終目標としたコンクール。
映像で自分の作品を見ることが出来るコンクールということもあり、かなり魅力的でした。
しかし、NHK創作テレビドラマと〆がいつも近い……。
スペック不足で僕は毎年応募を断念しておりました。
半端なもの出せねえよおおお。
過集中を得た代わりにマルチタスクがとことん苦手。伊参に出すなど到底不可能。神は二物を~(略)
しかし、僕の応募状況と打って変わって非常に人気あるコンクールで、シナリオ仲間もこぞって毎年応募をしています。
いつか余裕が出来た時は僕も参加したいなー、と常々思っておりました。
今年の伊参コンクールの要項発表時、開催を隔年にすると発表がありました。
2年に一度の開催になるということです。
つまり伊参2022を逃したら、次は2024。
出したい!!
毎年あれば多分2024年まで出さないとか余裕であった気するけど、2年に1回だと途端に使命感に駆られる不思議。
時間がないこと承知でNHKWDRのプロット(ガチ会29日〆)、
NHK創作(30日〆)を終えくっそ疲れて眠りたい夜から、7月1日の20時まで徹夜全力執筆することを決意。
無理したら死んじゃうよ?
死んでもいいわ。
健康は二の次です。
長く生きてしょーもない人生歩むくらいならここで潔く爆散する。
一度は死んだ身と思って捨て身で生きていれば辛いことなど何もない。
謎の覚悟を携え無事脱稿
こちらのコンクールですが、
30×30書式
が採用されています。
僕は馴染みなかったけど、普通なのかな?
これがすっごく厄介で。
最初は文字数と行数が増えただけで普段とあまり変わらないだろう。
と思ってた。
でも全然違う。
僕は短編で応募したのですが、短編だと10枚規定があるんですよ。
10枚以内に作品を収めてください、というもの。
だから単純に計算すれば
30×30×10=9000文字
これは一般的な20×20原稿だと
約22.5枚分となります。
22.5枚描けばいい
そう考える人もいるかと思います。
僕はそうでした。
でも……
違いました
執筆時『全然違うじゃん』と現実を目の当たりにした。
皆さんご存知の通り、シナリオには『改行』というものがあるんです。
これが盲点だった。
柱を設定したら改行。
セリフを書いた後は改行。
ト書きも状況を見て改行。
改行をしたらその行に残った文字数は、死にます。
これは20×20にも同様に言えることですが、30×30になるとその重みがすごいことになる。
例を出しましょうか。
ふろゆ「腹減った」
読者「うん」
こういったやり取りを伊参シナリオで描いたとしましょう。
この二行で何文字死んだか分かりますか。
ふろゆ「腹減った」→括弧を含めれば9文字。残りの21文字が改行で死にます。
読者「うん」→これは更に酷い。6文字描いて24文字の死。
Enter2回で45文字が消えています。
つまり20×20で言うところの2行分以上が改行でなくなっているのです。
20×20に換算すれば4行分の情報が、
『腹減った』と『うん』
これだけ。
恐ろしくないですか。
これが普通に行えちゃうんです。
小気味良いテンポ重視のシナリオを描けば10枚なんてあっという間に仕上がるでしょう。
ところがその中身はどうかというと、みっちり描かれたシナリオと情報量は雲泥の差です。
20×20だとここまで露骨に差は出ない。
ドラマコンクールは文字数が全てではない。
それは大前提として書いておきます。
それでも、これだけの文字数の死は些か、いや、かなり気持ちの悪いものでした。
勿体なさ過ぎるって!!
と、そんなことにプロットを描き終え『さあ執筆を始めようか』って時に気づいたものだから、
どうすんじゃああああ
っと発狂。そこから3時間+6時間。
〆は20時、時間が余るわけない。推敲は5周やったけど。
伊参には最初、リメイク作品を出すつもりでした。
落ちた作品を回すことを一度もしてこなかった僕だけど、
アクトジャムコンクール最終に残った短編は『落ちたけどまだやれる作品』と自己分析してた。
だからもう一度くらい挑戦させたい。
今回は〆まで時間もなかったし、リメイクで伊参にチャレンジしつつ供養もしたろ。
そのつもりだった。
でもこの伊参問題に直面した時、
『これ(リメイク)じゃないな』
そう直感的に思ってしまった。
こういう枷のようなものが出てきた時、僕は逆に燃える。
シナリオでもストレスを感じた時に真価を発揮するタイプである。
これはシナリオを学んできた僕だからそうなるのかもしれないけれど、
『この枷をどう活かすか』
こう変換してしまう。
本来なら幅を狭めるようなネガティブな枷だが、
これをポジティブな要素に好転させることもまた、作家の醍醐味なのだ。
改行は30文字近く描いてから
そんな枷を自分に課した。
枷を活かすために新たなプロットを考える。
今まで通り完全新作で決まりだ
幸い、伊参スタジオ映画祭は『幅広い作風』を受け付けている。
映画祭の特色が濃く出ているのだろう。
いわゆる異端と呼ばれるような描き方をしても、見せ方次第では評価される。
挑戦的なシナリオを描くことにした
一般公募にはまず出さない、映画祭だからこそ出そうと思えるそんな作品を目指す。
普通なら難しいと思えることも、今の自分になら出来る。
そんな自信もあった。
プロットを練り、本編とすり合わせる。
それを10枚。行ったり来たりを延々と。
そして無事完成。
1~3ページは表紙とあらすじ(約400字)、タイトル。
そのため僕の応募原稿は30×30の10枚シナリオである。
隣の6241/6822は、6241文字が本編の文字数で残りは1~3ページの文字数だ。
MAXで描いて9000字の内の6241文字。改行で死んだ文字数は2759文字。
伊参に出した方にしか分からないかもしれないが、自分の原稿と照らし合わせて貰うと僕のみっちり具合はまあ伝わるんじゃないかなーと思う。
文字数で語るな内容で語れ
と言われればまあそうなのだが、そこの面白さは証明しようがないのでここでは語らないでおく。
ただ、こういった枷に気づいたからこそ描けたシナリオだったと思っている。
ドラマがとか構成がとか気にせず、ブログみたいに描きたいまま好き勝手描いた。
僕の強みを出せたのではないでしょうか。
そういった点で楽しかった。
何より応募出来たことが嬉しいよね。
結果見る楽しみ増えた。
一次の結果はホームページを見ると9月とかそれくらいかな。
よゆーで一次落ちも覚悟しているけど、良いところまで進んで欲しい。
ちなみに大賞は狙っていない。もちろん貰えるなら欲しいけど、挑戦的な作品だ。
だから審査員賞的なやつが欲しい。
というか、そこを全力で狙っている。
キワモノ枠で頑張る。賞ください。お願いします。
これからいよいよNHKのWDR企画執筆へ本格的に移行。
休む暇なんかないぜ……。
こちらはドラマを重視したものをしっかり描きたい
と思っているが、全く上手くいかない。
もっと練り直さないとなあ。
自分の実力が足りなすぎて、手を抜いているわけではないけれど、そんな風に見えてしまっている自分がいる。
もっと良いもん描けるのにな。
最近、良作か否かの審美眼が確実に付いてきている(と思っている)。
シナリオ一次審査は『最初の10枚で判断できる』というのはあながち間違っていない気がする。
ただ、良作を描ける能力が身についたわけではないから、自作のポンコツ具合に落ち込むことだけに特化しつつある。
敏腕プロデューサーが脚本を描けないって多分こういうこと。
周りから刺激貰って、頑張ります!!