脚本の技術

ファーストシーンから楽しませる

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今日はファーストシーンについて書いていきたいと思います。

2018年のヤングシナリオ大賞の応募も始まりましたし、少しは需要あるかなって。

それに、

初めの記事は書き始めの記事にしようって決めていたんです!

完全自己満の洒落のつもりで書いています。すみません。上の色、うるさいですよね(謝)。記事は真面目に書きます。

 

ファーストシーンは物語の始まり。

シナリオの書き始めってわくわくしますよね。

頭の中に構想が色々あって、もちろん書きたいシーンもあって、

そこまでどう持っていこうかなって。

そのためには

「まずは人物や状況の説明をしないとなぁ」

なんて思って状況説明の使命感のみを掲げて、

ファーストシーンを書き始めていた時期が僕にもあります。

ですがこの何となく書いていたファーストシーン、

めちゃくちゃ重要なんです。

何となく状況説明を書いてしまう人が多いってことは、

ここで頑張れば他の作品と差を付けられるってことです。

ファーストシーン以外は並だったけど

ファーストシーンの衝撃が凄まじくて、それを映像で再現したい。

審査員にそう言われて大賞をもらえた。

そんな脚本家さんだっているんです。(伝聞です)

 

僕も今だから思うのですが、序盤こそ力を入れて書くべきだと考えています。

なぜならコンクールにおいて無名脚本家が書いた脚本を

審査員の方が1~10まで真剣に読んでくれるとは思っていないから。

これは別に審査員の方の悪口を言っているわけではないです。

見る側は何本も見るわけで、審査員だって人ですから疲れちゃいますし、

途中のどこかで力が抜けてしまうと思うんです。

審査員の中には全ての作品を最後まで真剣に読んでくださる方がいらっしゃるのかもしれませんが、

僕が審査員なら序盤で作品の是非を大体決めちゃいます(決まってしまうが正しい)。

例えば作品全体の長さが1~10なら1~2まで真剣に読んで決めます。

そしてこう思います。

例1「もう人物紹介や説明はいいよ。物語はいつ始まるの?」

例2「お、すごい始まり方。で、次はどうなるんだ。どれどれ」

とまぁこんな感じです。

1~2しか読んでなくても、下の方が二次に通りそうって思いませんか?

何本も読まなきゃいけないので、興味が持てない作品は(僕なら)3~10の部分をトコトン読み飛ばしますね。

3~10だって一応は読みますけど、先入観ってやつはなかなか拭えないです。

「そんなのどうでもいいじゃん。あなた審査員じゃないんだし」

そんな意見が聞こえてきそうですが、それは最もです。実際に僕は審査員じゃありません。

でも、そんな人だっているんです。一人いるならそれは絶対に加味するべきことなんです。

なんならこの審査基準、文字で書くと相当ひどいことをしていますが、

無意識に行っている審査員の人も多いんじゃないかなとさえ思います。

人ってこういう無意識が一番残酷です。

実際に受賞作品は序盤から面白いものが多いです。

もちろん後半も面白いですが、やっぱり序盤かな。

座談会でも、

「最後が勿体ない。雑に終わったね。力抜けちゃったのかな」

みたいな序盤を重視したような講評多いですし。

ちなみに、世にも~的な作品が受賞傾向強いってのも、別に根本的なアイデアがどうこうではなく、ファーストシーンのインパクトが強く、使いまわしのない表現がし易いってのが大きいと思っています。

逆を言ってしまえば、仮に奇抜な発想がなくともファーストシーンにインパクトさえ残せれば受賞確率は跳ね上がるわけです。

コンクールは「運」だと言ってしまったらそれっきりですが、

受賞確率を少しでも上げたいならファーストシーンは力を入れるべきです。

それに、ファーストシーンが面白ければ読んでくれる人や見てくれる人が

気持ちよく次のステップに進んでいくことができます。

書く方も見る方もwin-winなんです。

脚本家として徹底しない意味はないです。

第一印象が与える作品全体の影響は、特に多くの作品と比べられる1次や2次の突破に貢献します。

1次や2次は細部より全体の印象が大事ですからね。あくまで推測ですが。

なので審査方法も10作品読んだ後にこれとこれが面白かったなって相対的なものになると思うんですよね。

これもあくまで推測なんですけど。

ファーストシーンに状況説明や人物紹介をだらだら書いて、1時間ものの15ページ目から物語が始まる。経験則から思うにこういう作品、多いと思うんですよね。

そんな作品には絶対勝てます。

流石に3次以降にもなると数が減ってきて、実力差がより明確になっていきますが。

 

そんなこんなでファーストシーンはかなり大事です。

別にここで名シーンを書く必要はないと思うんですよ。

「最低でも物語を始める。それも面白い手法を使っていればなお良し」

これが最低ラインだと思います。

まとめます。

・読み始めの序盤にこの作品は「○○だ」ってアピールすること。

・少なからずのインパクトを持たせること。

こういうことです。

人は出会ってその人が恋愛対象か否かは90秒から4分で決まると言われています。

4分って短いです。こんなんで決まっちゃうんです。

人って悲しいことにそういうものなんです。

ドラマで4分って短いと思うかもしれません。1時間ものなら1/15程度です。

それでも、できれば4分(※)以内に物語を始めた方がいいと思います。

※人を好きになるよりドラマを好きになる方が倍近くハードルが低いとは思うので

時間も倍にして4分ではなく3分~8分とここに書いておきます。

10分も説明に使っていたらコンクールの審査員も、視聴者も、確実に飽きが来ます。

僕は1時間ものなら5ページ目には書きたいこと、やりたいことを書いちゃってます。

タイムリープものならタイムリープさせました。

そういうことなのかなぁって。

なんかうまくまとまりませんね。

結局何が言いたいかって、

ファーストシーン、めちゃくちゃ大事ですよ。

 

※今日書いたことは計算や戦略に近いものです。

理屈を創作に持ってくるなと言われるかもしれません。

でも、審査員含め、見てくれる人に面白いって思ってもらえる計算って大事だと思うんですよね。

脚本家って見てくれる人を楽しませる努力をする、そういう職業じゃないですか。

 


 

説明口調な記事になってすみません。

自戒も込めて書いています。

誰かの参考になってくれればいいなと思います。

 

P.S

今現在ヤングシナリオ大賞書いてる人、頑張りましょう!

僕も頑張ります!

 

過去記事でも何でも、

コメント書いてもらえると泣いて喜びます。

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