脚本の技術

【第2回】5枚シナリオ・映像化を前提に書く

投稿日:

更新お待ちどうさん、うどんさん!

by新村


 

今日は、

 

映像化を前提にシナリオを書くということ!

 

をシナリオを始めたばかりの人たちに向けて僕なりに書いていきます。

僕も新米だけどね!(4年目)

【第2回】5枚シナリオの内容を軸に話を進めますので、まだ読んでいない方は先にそちらをどうぞ。

 


 

※シナリオの書き方は人それぞれ、考え方も人それぞれ。

そこに答えなんてないです。

だから僕のブログは参考までに読んでください。

また、僕は「先生」と呼ばれるにはあまりにも未熟で、

人に物事を教えられるほど大層な人間でも決してありません。

だから一応書いておきます。

シナリオ初心者の方は、

・行けるならシナリオを学べる学校に通った方が良い

・シナリオの指南書は購入して読んだ方が良い

です。

シナリオの書き方を学びたいならそれが一番早いかと思います。

僕のブログに頼るのはもう、本当に最終手段だと思ってください。


 

今日の内容は基本中の基本。

シナリオは小説やポエム、エッセイと違って、

 

映像化前提

 

で書かなければならないということ。

だからシナリオでは、読んで直感的に分かることがとても大事。

「読むだけで映像をイメージ出来るように書かなければならない」

 

例えば、

 

○ふろゆ家・リビング

ふろゆ「この部屋暑いよ」

ふろゆママ「そうねぇ」

ふろゆパパ「プールでも行くかぁ」

僕のブログ読者ならササーッとこれを読めてしまうかもしれないけれど、

こういうシナリオを書いてしまうとアウトです。

なぜかというと、

 

ふろゆって誰!?

 

と一般の人はまずなるから。

そのママとパパも誰よ? ってなるし、脚本を書いている人たちが読んだら

「コイツラどこから湧いて出た」と言われることでしょう。急にセリフぶちこんでんだから。

テレビは老若男女、もっと広く言えば色んな知識を持った人が見るわけだから、きちんとト書きで情報を伝えていかなければなりません。

 

○ふろゆ家・リビング

食卓を囲むように座っているふろゆ(50)、ふろゆママ(73)、ふろゆパパ(75)。

ふろゆ「この部屋暑いよ」

ふろゆママ「そうねぇ」

ふろゆパパ「プールでも行くかぁ」

 

こうやって書いてみると僕のことや家族のことも少しは分かるでしょ?

 

ふろゆって50歳だったんだ……

 

これ見てそう思った人も多いんでない?

分かりやすくシナリオ上では盛ってみただけなんだけどさ。

ト書きで書かないと伝わらない怖さってのは分かってくれたはず。

でもこれでもまだアウト。

なぜならこのままではこの集まりが何の集まりなのか、いまいちパッとしないから。

これは家族なのか、親戚の集まりなのか、それとも別のコミュニティの話なのか。

テンプレートな核家族ならパッと見で分かるシナリオもあるんだけど、この年関係だとなんか伝わり辛いでしょ?

バーバパパはバーバのパパなのかそれともバーバパパという名前なのか。

そこをはっきりとしないとバーバファミリーは生まれて来れないわけです。

なのでそういう時は、

○ふろゆ家・リビング

食卓を囲むように座っているふろゆ(50)、ふろゆママ(73)、ふろゆパパ(75)。

ふろゆ「母さん、この部屋暑いよ」

ふろゆママ「あなた。ふろゆが暑いんですって」

ふろゆパパ「海でも行くかぁ」

こう書けば関係性も分かりやすくなるね。

ふろゆママは「ふろゆの母」で、ふろゆパパは「ふろゆママの旦那」。

だからこれは家族の話なんだなと分かるはずです。

この話を更に発展させていきましょうか。

やり取りの後に主人公である「ふろゆ」の反応(感情)を書いていきます。

○ふろゆ家・リビング

食卓を囲むように座っているふろゆ(50)、ふろゆママ(73)、ふろゆパパ(75)。

ふろゆ「母さん、この部屋暑いよ」

ふろゆママ「あなた。ふろゆが暑いんですって」

ふろゆパパ「海でも行くかぁ」

途端、元気になるふろゆ。

これは一見良さそうに見えるけど、ダメ。

「元気になる」

文章では分かるけど、映像化した時にこれでは他人から見て分かるはずがありません。

『元気になったこと』が真に分かるのは「ふろゆ当人」だけなんです。

だからこれも、

映像で見て分かるように書く必要があるんです

○ふろゆ家・リビング

食卓を囲むように座っているふろゆ(50)、ふろゆママ(73)、ふろゆパパ(75)。

ふろゆ「母さん、この部屋暑いよ」

ふろゆママ「あなた。ふろゆが暑いんですって」

ふろゆパパ「海でも行くかぁ」

ニマァと笑顔を浮かべるふろゆ。

これなら見て伝わりますね。

ふろゆが「ニマァ」と笑えばオッケー。

海行けるって聞いて嬉しそうだな、ふろゆ(50)。

ただ、これだと直球過ぎて表現としてはとても弱いなぁと思います

個性を出したい時はセリフや小道具を上手く使うと良いですかね。

○ふろゆ家・リビング

食卓を囲むように座っているふろゆ(50)、ふろゆママ(73)、ふろゆパパ(75)。

ふろゆ「母さん、この部屋暑いよ」

ふろゆママ「あなた。ふろゆが暑いんですって」

ふろゆパパ「海でも行くかぁ」

ふろゆ「なら海パン探してくるわ!」

立ち上がり、小走りでリビングから去るふろゆ。

ほら、これなら『海に行く』という誘いに前向きな感じが出てきてグッド!

ふろゆ(50)というキャラクターが崩壊している気がするけども。苦笑

とまぁこんな感じで、色んな武器を使ってうまーく映像で状況を説明していくのが難しくもあり、シナリオの醍醐味でもあります。

○ふろゆ家・リビング

食卓を囲むように座っているふろゆ(50)、ふろゆママ(73)、ふろゆパパ(75)。

クーラーには『故障中』と書かれた紙。

扇風機が回っている。

ふろゆ、額の汗をタオルで拭っている。

ふろゆ「母さん、この部屋暑いよ。もう限界

ふろゆママ「あなた。ふろゆが暑いんですって」

ふろゆパパ、立ち上がる。

冷蔵庫へ向かい冷凍庫からアイス箱を手に取る。

しかし、中身は空っぽ。

ふろゆパパ「海でも行くかぁ」

ふろゆ「なら海パン探してくるわ!」

立ち上がり、小走りでリビングから去るふろゆ。

暑さに苦しむ感じの描写を更に追加してみました。

完成形を読んでみると、最初のシナリオに比べてだいぶ良くなった気がしません?

(元があまり良くないけど)

 

他によくあるミスで言うと、

 

手に汗握る戦いが行われている。

とか、

少年の涙がキラリと零れ落ちる。

とか。

 

文章では綺麗に感じても、映像化でその綺麗さは伝わらない。

だからシナリオを書くときは、

 

映像化を前提に書いていること

 

を終始忘れてはいけない。

 

 

脚本家に必要な

 

演出と配慮

 

なのかなって思います。

 

何度も言いますが、今日書いた内容は基本中の基本です。

小説から転向した人なんかはこういうミスが多くて苦労しているイメージあるなぁ。

文章力あるから書きたい描写が多くてつい書き込みすぎちゃうのかな?

僕は小説を書けないし書いたこともないから全然平気だけどね。


 

たまーに、

 

すっごい情緒溢れるト書きを書く人

 

の作品を読むことがある。

もうね、すごいのよ。

読んで情景が浮かぶって言うんかな。

ト書きから世界観に没入させられるような。

そういうト書きを書ける人はマジで尊敬してる。

こういうのを書けるのも小説から来た人が多いイメージなんだよねー。

何事も一長一短ということなのかな?

語彙力どうこうってわけでもないんだよねー。

何が違うんだろ。

 

ただシナリオは、

 

セリフが大事なんで!?

 

僕は(ト書きは無理なんで)セリフのやり取りで魅せられるシナリオライターになりたいです!!(願望)

 

 


 

まぁこんな僕だけど、最近ト書きをよく褒められる。

理想の方向とベクトルは違うんだろうけど。

何でもそういうもんだよね。苦笑

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