脚本の技術

応募作を読んでもらって初めて○○を褒められた!

投稿日:2020年3月8日

シナリオを読んでもらいました。


 

 

最後まで誰にも見せずに投稿した今年のヤングシナリオ大賞応募作品。

 

やっぱり不安。

これどうなんだろう?

結果前にとりあえず誰かに評価されたい。

 

そうウズウズ思っていた最中に読んでくれるという方が現れたので、早速読んでもらいました。

 

 

意外と好評価!?

 

今までに何本か読んでもらっていた方だったのですが、

 

コレ今までで一番面白いんじゃね?

 

と太鼓判を押してくれました。

 

マジカー!

 

自信はあったけれど、変なところからくるやつだと思ってた。

 


 

『脚本家が人に作品を読んでもらって一番言われたいセリフ』

そのランキングがこの世にあるとしたら、どれが一位になると思いますか?

久々にアンケートを取りますね。

※この後、僕の結果予想を書くので続きはアンケート投票後に読んでみてください。

 

[democracy id="3"]

※アンケート結果はアンケート後に見れるよ!

 

さて、一位を当てましょうか。

 

 

一位はズバリ

 

「セリフが良かった!」

 

でしょう。

 

まず間違いなくコレが一位だよね!?

 

シナリオのことを全く知らない人やシナリオを書き始めたばかりの人がこの記事を見たら、

なーに言ってんだコイツ。

と思われるかもしれないけど

 

この世界、

セリフが全てなんすよ……

 

これはね、断言してもいい。(アンケート結果が違ってたらごめんだけど)

 

確かにストーリーや構成がシナリオで言うところの骨格みたいなものだから

そこが面白くなかったら作品全体もまぁ面白くなくなるわけなんだけど

 

ストーリーは誰にでも書ける

 

100人いれば100人の発想があって100通りのストーリーがある。

自分が奇抜なストーリーを思いついたつもりでも、

普通に考えて他の99人も奇抜なやつを考えているんです。

で、その奇抜アイデアの中で

100人中1位

を取るのってすごく難しい。

「ストーリー先行型シナリオ」。

僕は作品をそう評されることが多い。

一見するとすごく褒められている気もするけれど、これってすごく悲しいことなのよね。

だってこの100人の中で上位になったところで「業界」はそういう人材はまーったく求めていないのだから。

分かりやすく言えば、コンクールなら一次落ちってこと。

だってさ「公募」でいいじゃない。ストーリーなら。

 

ではセリフはどうなのか?

 

シナリオの本文7~8割は「セリフ」です。

そりゃみんな良いセリフを書きたい。そう当然のように思っている。

だからストーリー同様に100人単位での勝負になると思うかもしれない。

 

でも書けるんですか??

 

簡単に書けたら苦労しねーよ。

脚本家志望歴が長い人からはそんな言葉が飛んできそう。

 

良いセリフが書ける人って本当に少ない。

僕も書けないその一人。

これだけ書いて未だに良いセリフを書けないわけだから、そりゃ難しいわな。

だからきっとセリフに関しては100人いても100人単位での戦いにはならない。

ストーリーは一般人込で100人単位で競うことになるから倍率は半端なく高いけれど、

セリフに関しては間違いなく100人の中の脚本家志望数十人で戦うことになる。

(脚本家志望と一つに括っているけど志望歴一年目の人から二十年目の猛者もいるからね)

これだけでも狭き門。

で、その中で接戦するのはきっと上位2~3人くらいなんだと思う。

そりゃこういう人材のほうが希少だし、業界も欲しいよね。

「セリフ」は誰にでも書けるわけじゃない。

 

セリフはセンス

僕はこの世界でまことしやかに言われているこの言葉が大の嫌いなんでセンスや才能は全く関係ない前提で話します。

 

書いてりゃ伸びる、それがセリフ

 

だからみんなシナリオを書き続けているんです。

良いセリフを書けるかどうか。

そこに自分の人生を懸けて、ひたすら書き続けるんです。

それで受賞してプロへとなっていく

受賞シナリオに「セリフはあまり良くなかったけど~」なんて選評が書かれることってないです。

ちなみにストーリーはあります。「どこかで見たことあるような話」とか「よくある○○ものだよね」とか、そういうのは「ストーリーが平凡」と言われているようなもの。それでも選評に載るってことは、良いとこまでいってんですよ。ストーリーが並でも、ね。

 

で、ごめん。

すごく話が逸れた。

今回出したヤンシナ作品を読んでもらって、

 

セリフが良かった!

 

そう初めて言われたんです。

しかも複数人から。

マジカー。

正直に言っちゃえばそういう作品が書けたってことで

ここでドヤりたいと言う気持ちは100中80くらいはあるんだけど、

残りの20はなんでそう思われたのかという心当たりが多少あるのね?

その心当たりを今日は書いていきたいというお話。

(つまり今までの云々は前置き)

前置き毎度長くてごめんね。

 


 

今作は良いセリフが書けたらしい。

 

らしい。というのは全くもって自覚がないからである。

何で自覚がないかと言うと

 

僕自身は良いセリフを書けたつもりがないから。

 

もちろんいつも通り全力でストーリーを考え推敲だってちゃんとした。(誤字あったけど)

でもセリフに関しては一つ、変えたんだよね。

 

頭で考えるのをやめた

 

いつもセリフを書くとき、頭の中で添削をしながらセリフに起こす癖がある。

それを今作では一切やめた。

「これ、説明セリフになってない?」

「三行以上のセリフはアカンよね?」

「この掛け合い、自然な流れか?」

そういう脳内囁きを全無視。

シナリオルールの常識で落ちても構わん。どうせ落ちる時は落ちるのだ。

だから

思いついたら書く!

これを徹底した。

 

なんで大事なヤンシナでこんなことを……

そう思う人もいるかもしれないけど、

 

今までのやり方で書いて落ち続けているからね!

(3連敗)

 

何かを変えなきゃいけないでしょ。

で、今回の作戦である。

 

もちろんそう至った経緯はある。

 

某受賞シナリオで、

「この作者は良いセリフが書ける」

そう選評されていたことがあった。

その作品を読んだ僕の周りの脚本家(志望)仲間も同じ感想である。

「セリフのセンスには脱帽、完敗です」みたいな。

が、

悲しきかな。

僕にはその良さが全く分からなかった。

なぜなら

 

僕にもこれくらいなら書ける

 

そう思ってしまっていたからだ。(セリフをね)

何ならもっと洗練され、考え抜いたセリフを自作ではいつも書いているつもりだった。

こういうことを書くとまず言われるだろう。

「良いセリフを書いているお前は何で受賞しないんだ?」

と。

 

だから今作で試した

 

誤解がないように書いておくとセリフを真似たわけではないです。

そう思ったシナリオは一回しか読んでないし、内容も簡単なあらすじ程度にしか覚えていないくらい。

違う、そういうことじゃない。

 

これなら僕でも出来る

 

その感覚だけをただただ忘れずに書き連ねた。

それが今作。

 

具体的にはフィーリングのみで書いた。

先に書いた通り、思いつくままで。

このフィーリングのことをセンスと言うのであれば確かにそうなのかもしれない。

でもフィーリングって掴めるものだと思う。

物事に対して「何も」感じない人っていない。みんな何かしら感じてる。

 

それを言語化しただけ

 

僕の場合はシナリオを書きすぎていたからかいつの間にか「頭で書いていた」。

それが「癖」になっちゃうと意識しないと抜け出せない。

例えば

○学校(朝)

女子学生A「おはよう」

女子学生B「」

次の女子学生Bのセリフをどう書くか。

ここで立ち止まってはいけない。

立ち止まってしまうと

「おはよう」と返すか、「今日は○○の日だよね?」と話を展開するか。

この二択で迷うことになってしまう。

そういう"自然な流れ"を「考えて」書いてしまう人。多分いっぱいいると思う。

ここで自然な流れって言葉がもう、ドラマの見すぎなんだよね。

無意識に既存のエンタメ作品に寄せていってしまってる。

こんなんじゃ作家性もクソも出るわけがない。

 

僕みたいなことを考え推敲しながらセリフを書いてしまっている人はぜひ

 

頭の中を真っ白にして書いてみてほしい

 

それが難しいんだよ。と思う人は

「自分には分からなかった」と思う作品(でも評価されているもの)を読んでみると僕みたく解決の糸口が見つかるかもしれないね。

 

だから僕は今作で

良いセリフを書けた実感はまるでない。

何なら今までの作品の方が頑張って書いていた気がする。

でも評価されるのはきっと今作なのだろうな。と思う。

難しいね。

良いセリフを書ける力があるにはあった。

ただ、それを自分で「良い」と評価することが出来ない。

センスという言葉をあえて使うけど、

実力はあってもセンスがない。

今の状態ってこういうことなんだよね。

複雑な気持ち……。

 

 

こういうことを書くタイミングではないことは重々承知だけど書かせてほしい。

一本書いてみて、セリフを頭真っ白で書いた弊害はやっぱり出たというね。

それは

「伝わりにくいところ」が出てきてしまうということ。

以前のスタイルに比べて読者や視聴者をないがしろにしてしまうのは当然。

でもフィーリングで書いてしまっている手前、そこに自分で気づくのは今まで以上に難しい。

気づいたとしてもそこで修正してしまうと「頭真っ白」にした魅力が弱くなる、だから余計にね。

 

その辺りのバランスが難しいのかなーと思う。

僕とは逆に、フィーリングに全振りで「視聴者が置いてけぼり」になってしまっているシナリオを何本も見たことがある。

それはそもそもが分かりづらかったり、全体を通して何が言いたかったのか分からなくなってしまっているシナリオ。

そういうシナリオも駄作と評されるのよね。

だからね、やっぱバランスが大事。

 

シナリオのことを考えすぎて頭でっかちになってしまっている人は「意識」して「頭を真っ白」にするしかない。

真っ白のつもりで書いてみると、それで案外良い塩梅になってんだと思う。

読者や視聴者に対する「気遣い」は「意識して」頭真っ白にしてもそうそう抜けるものじゃないから。

 

力を抜いて「作品を書くこと」に集中すること。

 

それが一番の近道なんだと思うよ。

 

僕の場合はそうだったかな。

 


 

今作で変えたことその2。(まだ続く)

 

今まで僕が書かなかった題材をメインに書いた。

 

実はヤンシナ作品の感想をもらったら、この内容で記事を書くつもりでした。

今作では

良い意味で僕らしくない作品

を書くのが目標の一つにあったから。

それが予想外、セリフを初めて褒められたものだから急遽予定変更。

「良いセリフの書き方」なんて僕は絶対に記事で書けないなーと思っていたから、書けて嬉しかった。

で、ごめん。

また脱線したけど題材ね。

やっぱねー、

「この題材(畑違い)で書きてえええ」と思ったら思い切ってジャンルを変えてみるのは良いことだと思う。

多ジャンルで書いている人より一本化している人の方が強いとは思うけどね。

意外と他ジャンルいっても書けたりするんだよ。

それに、そこでしか見えないものや書けないものってやっぱりあると思うし

適応していく自分を知れると作家として向上してんだなって自信にもなる。

コンクールの結果でしか評価されないこの世界で、こういう機会を得られるのってすごく大きいよ。

 

ま、今回のヤンシナの結果はどうなるか分からないけれど、

 

一次で落ちない自信はある

 

僕にしては珍しい?

太鼓判も押してもらえたし。

「自信あるって一次かよ」そう言う人もいるかもしれないけど、デカイからね!?

これで落ちたらマジでウケんな。いや、笑えないか。

 

いやいや楽しみ。

がんばええええ!!!!

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