脚本の技術

【第3回】5枚シナリオ・主人公が成長して問題を解決する

投稿日:

シナリオ初心者以外もやっちゃうミス


 

今日は、

 

主人公が成長して問題を解決することこそがドラマ

 

をシナリオを始めたばかりの人たちに向けて僕なりに書いていきます。


※シナリオの書き方は人それぞれ、考え方も人それぞれ。

そこに答えなんてないです。

だから僕のブログは参考までに読んでください。

また、僕は「先生」と呼ばれるにはあまりにも未熟で、

人に物事を教えられるほど大層な人間でも決してありません。

だから一応書いておきます。

シナリオ初心者の方は、

・行けるならシナリオを学べる学校に通った方が良い

・シナリオの指南書は購入して読んだ方が良い

です。

シナリオの書き方を学びたいならそれが一番早いかと思います。

僕のブログに頼るのはもう、本当に最終手段だと思ってください。


 

【第3回】の5枚シナリオに関する記事はこれでおしまいです。


 

起承転結について書いた記事で、

冒頭で問題を提示し、主人公がシナリオの中で成長(変化)し決断。

最後はその選択により問題を解決(あるいは精神を解放)する。

 

これがドラマの基本形

 

そう書いた。

これを色んな角度からアレンジして、自分なりのオリジナリティを突き詰めていくと、面白いシナリオが書けるようになるんじゃないかなって僕は思っている。

 

ただ、これは本当に意識して書いて欲しいんだけど、

 

主人公が決断し、行動する。

 

これを徹底しないといけない。

言葉で書くのは簡単だけど、実はすっごく難しいので今日はこうやって改めて記事に書いてみようかと思います。

 

 

例のためにこれから僕が一本、簡単なシナリオプロットを作ってみましょうか。

舞台は中学校。

クラスのいじめっ子がいじめを行っている様子を、ただ傍観している中学生ふろゆ。

いじめは嫌いで仲裁に入りたいが、気が弱くて何も出来ない。

こういう冒頭のシーンがありましたっと。

これを解決させようとした時、色んな方法があると思うんだけど最もスタンダードなものは、

ふろゆ、勇気を出していじめを止めさせようと間に入る。

なのかな。

まぁこの辺りの展開は各々想像力を働かせて頑張ってみてください。その展開の違いこそが作家性なのかと思います。

ここでふろゆに勝たせて無理矢理ハッピーエンドという終わらせ方も出来るけれど、

プロの脚本家を目指すなら、この後の展開は捻らせていきたいです。

ふろゆにはいじめを止めるのは不可能だった。

しかし、SNSで告発をしていじめっ子に社会的制裁を与える方法があることに気がつく。

こう書くと更に展開が出来そうだよね。

これなら主人公の挫折を真っ先に書けるし、冒頭の見応えも出てきそう。

主人公であるふろゆのずる賢さという『人のリアル』も出ているように思えます。

(ファーストシーンGood!)

また、SNSなんかの社会的な要素を加えると一気にドラマっぽさが加速して面白く感じるのも良いね。

いじめっ子はふろゆにより社会に晒され、逆にいじめられる立場になってしまう。

いじめられっ子だった子は立場が逆転して、遂にはいじめに加担する側へと回る。

それを見ているふろゆ。

自分の行ってしまったことは正しかったのかと自問自答し始める。

で、最後はふろゆの決断を書いて結。

とまぁこんな感じで、いつも通り起承転結に沿ってドラマを書くとこんな感じになります。

 

自分で書いてみてあれだけど、

結構良い話じゃね?

これで一時間もの普通に書けそうじゃん。

 

ただ、今日書きたいことはこれじゃないので自画自賛はこの辺に……。

 

続けます。

冒頭に戻って、

このシナリオをよくあるミスに習って駄作へと書き換えていきます。

舞台は中学校。

クラスのいじめっ子がいじめを行っている様子を、ただ傍観している中学生ふろゆ。

いじめは嫌いで仲裁に入りたいが、気が弱くて何も出来ない。

この場面で続くシーンを、

見兼ねた担任の先生が「いじめは良くないからやめなさい」といじめっ子に指摘する。

クラスからいじめがなくなる。

こう変更してしまうとどう感じますか?

ドラマが終わってしまうのは勿論そうなんだけど、これではドラマでさえなくなってしまう気がしませんか。

担任の先生はいじめを面倒だからと黙認する無能教師に設定しましょう。

それかいじめっ子生徒に服従してしまっているとか。

この担任の先生は『承』のネタとして、そこでお灸を添えればGoodです!

続いてこのシーン。

ふろゆにはいじめを止めるのは無理だった。

しかし、クラスメートの一人がSNSにいじめっ子のいじめの様子をアップロードする。

展開は似ているけれど、行動しているのは主人公のふろゆではなく、どこの馬の骨ともしれないクラスメート。

誰だよコイツ!

まぁこの展開でも今後のストーリーライン的には良さそうに思えるけれど、

先に書いた展開に比べると今後に繋がるドラマが非常に弱くなってくるのが分かるはず。

というかこうなってしまうと、ドラマではなくなると言っても過言ではないですね。

いじめっ子はふろゆにより社会に晒され、逆にいじめられる立場になってしまう。

いじめられっ子だった子は立場が逆転して、遂にはいじめに加担する側へと回る。

それを見ているふろゆ。

「ふろゆ君、なんてことをしてくれたんだ。君もいじめの加害者だよ」と、クラスメートの一人がふろゆに言う。

ふろゆ、超反省をする。

はい。これではどうでしょうか。

言いたいことのメッセージ性はほぼ変わりませんよね。

何ならこっちの方が核心をセリフに起こしていて、より視聴者にテーマが明確に伝わるのではないか。

そう思う人もいるかもしれません。

でも、こうなってしまうとドラマではなくなってしまう。

なぜなら、

 

視聴者を主人公に感情移入させて想像させるまでがドラマ

 

なんですよ。

だから皆までは伝えなくて良いんです。

僕が書いたこの作品のイメージでは、

「ふろゆ君、なんてことをしてくれたんだ。君もいじめの加害者だよ」

これこそが【僕にとっての】このシナリオの真実だけれども、

先のシナリオ。

「自分の行ってしまったことは正しかったのかと自問自答し始める」

そんなふろゆを見た視聴者が、

「彼はこの時に何を思っていたのだろうか」

それを想像することの方がドラマでは1000倍大事。

その方がずーっと深い作品になるんです。

 

ちなみに、この悩むという過程を経て、

ふろゆ「僕はなんてことをしてしまったんだ。僕もいじめの加害者だ」

と思って行動する分には構わないんです。

セリフに起こすのだけはオススメしないけど。

ちょっと難しいですよね。

言っていることは一緒なのにね。

 

『ある程度は視聴者の想像に委ねる』

と言うのはこういうことだと僕は思っていて、主人公に感情移入した視聴者が何を思うかは自由。

その自由度こそがドラマの深みにも繋がると思っています。

だからね、「脚本家の主張」ってやつをシナリオを書く上で持つ分には良いんだけど、

それをセリフで明確に発信してしまうと、

 

途端に浅いドラマが出来上がる

 

もうね、

これは初心者だろうと中級者だろうと上級者だろうと、

表現者という承認欲求とは切っても切り離せない世界に入った人は皆が持っているものだからね。

すっげー注意して書いていかないといつまでもやってしまうミスなように思います。

メッセージ性を第三者に言わせるのはとても楽だし、書いている側も気持ちいいからね。

 

 

シナリオで主張することは脚本家にとってとても重要。

でも、その感性が時にシナリオを浅いものに仕上げてしまう。

白黒ハッキリしたい人なんかはそういった傾向が強い作品を書く印象があるかな。(僕含め)

気をつけましょう。

 

少し脱線したので戻します。

 

主人公が決断し、行動する。

 

これの徹底の話。

僕が書いたミスは全て、

 

主人公の周囲の人たちが話を回しています

 

こんなバカなミスをするかぁ?

って思うでしょ?

 

するんだなあ、それが。笑

 

俺は、私は、絶対にしない。

そう思っている人ほど要注意かなって思います。

まーあとは初心者の方は特にね。困ったら第三者を出しがちだから。

 

立ち止まって展開を迷うのも大事。

 

どんな人のシナリオにも起こり得るものだと思っています。

しっかりとドラマを追求すること。

 

主人公が決断し、行動する。

 

ドラマの基本原則にして最も難しい領域。

これを上手に操れたらプロになれるかも!

 

意識して頑張りまっしょーい!!!

 


 

5枚シナリオシリーズも残すところあと一本。

つまり教え始めてもうすぐ1ヶ月が経つということ。

早ぇな!!

 

座学記事のレベルが少しずつ上がってきていることからも分かる通り、

 

教えることがもうないんだよね

 

いや、正確にはまだまだあるんだけど、

もうここから先は個人的に細かく教えるレベルになっちゃう。

ブログの読者にも刺さるような幅広い内容で言えば、マジで教えることがもうない。

あとはひたすら作品を書いて、極めるのみ。

 

意外と『全4回』ってのは良い配分だったのかなって思ってる。

 

はぁー、もうすぐ終わりかー。

 

こういう記事を今後書けなくなるのは、ちょっと寂しいね。

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