脚本の技術 思い出

1ヶ月間のシナリオ師弟関係 -初心に帰って走る-

投稿日:2020年3月16日

若いって素晴らしい


 

読者層について。

ブログの運営をしている人はみんな一度は考えるであろう。

この文章を「誰に見てもらえるか」を考えるのはシナリオでもブログでも一緒だ。

書く側の人間が読んでくれる人を想定していた方が、当然面白いと感じてもらえるものを書けるのではないかと思う。

で、僕の場合は、

シナリオコンクールに応募している人たち

をブログで想定している。

だからだいたい20代そこらから50代くらいまでのプロを目指している人たちに向けて日々更新をしているのである。

 


 

※今日の記事はブログのネタに書いて良いと本人より許可は得ております。

先日、

ヤンシナ応募シナリオの交換をしてほしい

という匿名の連絡が来た。

僕は「応募中シナリオ」の交換を行う人の線引はしていて、

・オフ会等で直接会ったことがある人

・長くお世話になっていて信用できる人

に限定をしている。

これは僕が生意気だからとかそういうわけではなく、

「応募中」のシナリオであるために、どんな可能性であれ「漏洩」が怖いという理由があるからだ。

もし作品を送った相手が悪者で、悪意でネット上に僕の作品をアップロードしたら……

 

僕の受賞権利は一瞬で吹き飛ぶ

 

そんなことは万が一にもあってはならない。

これは人に対する信用がどうこうの問題ではない。

生み出した作品に対する責任

アマチュアの段階から持つべきプロ意識。

僕はそう思っている。

作品は正当な評価を受け、

正当な理由、正当な過程の中で落ちる。

それを最後まできちんと見守ること。

見守れる環境を作ること。

子供を成人まで育てきり、無事に独り立ちさせる親の気持ちに似ている。

(子供なんていねーけど)

だから今回の申し出は丁重にお断りした。

「送るのは無理です」と。

「でも、審査が終わった後でならぜひ」。

そう告げた。

我ながらみんな納得の超まとも判断である。

 

……。

 

……。

 

忍びなくね!?

 

プロ意識がとか作品に対する責任がとか

綺麗事をさんざん書いておいてあれだけど

 

人として、これで合ってんの??

と思う。

相手が善人であると仮定した時、向こうは僕のことを信用して今回の申し出を行っているわけで……でないとシナリオ交換なんて切り出すわけがない。

相手を一方的に悪人とみなしているのは僕の方。

僕が誰よりも人間不振なだけじゃねーか!

蓋を開けるといつもこうだ。

ただのひねくれ者。人嫌い。そういうオチ。

だからこれはもう、その罪悪感を埋めるためである。

 

「僕が読んでその感想を送る分であれば……」

 

そう最後に付け足しておいた。

相手は僕のブログの読者だったので、僕の人柄をある程度は知っているみたいだ。

だから僕とは違い僕のことを少しは信用してくれているのだと思う。

だからこの提案はそこまで素っ頓狂なことは言っていないはず。

でも後から考えてみれば「俺は送らんけどお前のは読ませてや^^」というなんともワガママと言うか、ズルいというか。

そういう身勝手な提案をしているのは絶対に僕の方なわけで。

交換じゃないならまず送らないのが普通よね。

っつーかそれ通り越して「ふろゆ嫌いだわ」ってなるね。僕なら。

実はこういうやり取り、裏で他の方と何回もやっていたりする。で、多分嫌われてる。

 

 

小一時間後、その返信が届く。

 

 

「では、読んでください!」

 

 

素直だな!!

 

拍子抜けだった。

こうなってくるとますます自分がひどく醜く見える。

罪悪感と自己嫌悪に潰された僕。

人間ってキラキラしてる。僕は人間じゃない。

 

だからせめてでもこの送られてきた作品とは真摯に向き合おう。

本腰を入れて読もう。

 

……。

 

なんて作品だ。

 

シナリオから若さを感じる。悪い意味で。

滅茶苦茶。

書式は勿論、三幕構成も、文法も、

というかそもそもドラマでさえない。

特殊文字(☆や♪や●みたいなもの)も随所に使っていて、

これはシナリオどうこうではなく、

規約違反で論外だ。

そんなシナリオだった。

この作家さんはこのままじゃ何作書いても受賞は難しいな。

と、珍しくもマジで思ってしまった。

失礼だけども年齢を聞いてみる。

 

学生、それも高校生。

 

まじかああああああ!!!

僕のブログ読者のセグメントを遥かに下回るお年。

そのお年である。

 

……。

 

……。

 

僕はこの子にシナリオの書き方を教えてあげようと思った。

(1ヶ月だけ)

 

いま僕が何を言ったか分からなかった人もいるだろう。

僕もなぜこのような行動原理に陥ったのか、よく分からない。

多分あれだ。

シナリオブログを書いている手前、感想をどう返事しようか。

変に褒めるのは不親切だし、かと言って真実をそのまま伝えるには酷すぎる。

じゃあどうしよう、何が正解なんだろう。

あああ。

と悩みに悩んで六時間(これマジね)。

 

教えれば良い。

 

そういう結論に至った。

ブログの読者層を良い意味で読み誤ってしまった僕。

このブログって10代の人も読んでいるのか。

ちょっと……いや。

だいぶ嬉しい。

そんな彼ら彼女らに僕なりに応えたい。

なんかね。そういう風に思ってしまった。

他にも御託は色々考えたけど

何よりも"直感的"に「教えよう」そう思ってしまった。

 

だから少しの間だけこの子に時間を割くことにする。

 

ただ

そんなことをしている場合じゃない。

それは間違いない。

プロの脚本家を目指して日々書いている僕。時間はもちろん足りていない。

他人に構っている暇なんてない。

そういう意見もあるだろう。

友だちに相談したらボロクソに怒られたよ。

 

でも、やる。

 

結果は何も出していない。

一次通過だってやっとの自分だ。

満足のいく作品を数本も書けたことだってない。

そんな僕だけど、頼ってくれた人がいる。

僕でも一人の小さなシナリオ書きに、何か影響を与えることが出来るかもしれない。

与えられるのは与えたことのある人間だけ。

根拠のないスピリチュアル話を信じて立ち上がる。

大丈夫、僕にも"シナリオの天才"が付いている。

 

僕を信じて無謀にもシナリオ交換を提案してきたこの学生。

書き綴られた65枚上限一杯のお世辞にも上手いと言えないシナリオ。

 

なんかね、ほっとけないのよ。

不器用というか、無鉄砲というか。

どこか自分と重なって。

……。

目標はコンクール一次突破。

これは僕の目標でもあるんだけど。笑

今からだと今年のNHKのシナリオコンクールが近いかな。

一緒に出せたら良いな。

 

というわけで

 

今日から頑張ろう!!

 

僕も一緒に頑張ります。

自慢できる格好良い存在を目指すよ!

 


 

僕は「先生」と呼ばれるにはあまりにも未熟で、

人に物事を教えられるほど大層な人間でも決してない。

そんなことは自分が一番よく分かっている。

だから一応書いておきます。

シナリオ初心者の方は、

・行けるならシナリオを学べる学校に通った方が良い

・シナリオの指南書は購入して読んだ方が良い

です。

シナリオの書き方を学びたいならそれが一番早い。

僕のブログに頼るのはもう、本当に最終手段だと思ってください。

 


 

ということで急遽始まった師弟のような関係。(もちろん無料である)

最初の課題は

「バレンタインデーのお返し」

というテーマで5枚(20×20)のシナリオを完成させること。(3/21締切)

既にホワイトデーの日に課題は提出済。

で、すぐに書き上げたらしく作品はもう僕の手元にある。

課題を渡してから10時間くらい。(夜中に渡したんだけど)

5枚とはいえ、早いお仕事。

僕もこれくらいのやる気を出さねばな。

相変わらずの遅筆。というより書き始めるまでの腰が異常なまでに重い癖を直さねば。

いやいやこれからの成長が楽しみ。

良い意味で僕を越えてくれ。

 

僕も初心に帰って5枚シナリオをブログに都度載せてみようかと思います。

 

コンクールシナリオばかり書いていても逆に鈍るし、腕を上げるためにもこれは良い機会だと思うんよね。

コンクールがない時は人って怠けがちだし。

 

なのでシナリオ中級者の方にはこれから1ヶ月、退屈な記事が続くかもしれません。

ごめんなさい。

載せた習作は暇な時にでも読んでくださると嬉しいです。

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